①二次性(続発性)副甲状腺機能亢進症とは?
副甲状腺そのものではなく、「くる病」や「ビタミンD欠乏症」、「慢性腎不全」
などが原因で副甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、
血液中のカルシウム濃度が必要以上に高くなる病気
→二次性(続発性)副甲状腺機能亢進症という
慢性腎不全が原因で副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることがある。
→腎性副甲状腺機能亢進症という
②腎性副甲状腺機能亢進症のメカニズム
腎不全になると
腎臓でのリンの排泄およびビタミンD3の活性化が出来なくなる
↓
活性化ビタミンD3が低下すると・・・
↓
腸管からのカルシウムの吸収が低下する
↓
つまり、血液中のカルシウムが低下し、リンが上昇する
↓
この状態が副甲状腺を刺激する
↓
副甲状腺ホルモンの分泌が促進される
↓
刺激が続くと副甲状腺が腫大する
↓
血液中のカルシウムの値に関係なく
副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまう
(副甲状腺機能亢進症となる)
※副甲状腺ホルモンの過剰な分泌で、
骨から血液中へのカルシウム移動が促進される
※骨がもろくなってしまう
→「骨痛」・「骨変形」・「病的骨折」などの原因となる
※体内のあちこちカルシウムが沈着(異所性石灰化)し、
「動脈硬化」「心臓弁膜症」「関節炎」などを引き起こすこともある。
副甲状腺ホルモンの作用
副甲状腺ホルモン(PTH)のターゲットは主に「腎臓」と「骨」にある。
腎臓での作用
・遠位尿細管に作用し、Ca再吸収を促進する
・近位尿細管で1α水酸化酵素を誘導し、活性型ビタミンDへ変換する
・活性型ビタミンDは小腸からのカルシウム吸収を促進する
骨での作用
・骨のPTH受容体は骨芽細胞に存在する
・血中Ca濃度が正常の時には骨芽細胞を刺 激して正常な骨形成に関与する
・低Ca血症時には間接的に破骨細胞を 刺激して骨吸収を高めてしまう。
③治療について
リン(P)とカルシウム(Ca)濃度のコントロール
治療として血清のリンとカルシウムの濃度をコントロールすることが大切
それぞれの目標値は、
血清リン:目標値 3.5~6.0mg/dl
血清カルシウム:目標値:8.4~10.0mg/dl
※アルブミンが低い人は注意が必要(補正する)
血液中アルブミン4.0g/dL未満の場合
血液中Caを補正する必要がある。
補正Ca値 = 血液中Ca値 +(4-血清アルブミン値)
食事
高リン血症を防止するため、たんぱく質の摂取を制限する。
透析によるリンの除去は限られているので注意が必要
1日のたんぱく摂取量を体重1kg当たり1.0~1.2gにすると良い。
なかなか薬局で指導は難しいが、適度なたんぱく質量が
どれくらいか体重から計算し、伝えるといいのではないだろうか
内服薬
リン吸着剤(レナジェル®、フォスブロック®など)
活性型ビタミンD製剤
Ca受容体作動薬(レグパラ®など)
手術
手術療法では、副甲状腺をすべて摘出し、
摘出した副甲状腺を前腕などに移植する。
参考資料
今日の治療薬2019