おまけ:アロステリック部位・効果について
①作用機序
セロトニン再取り込み阻害作用(SSRI) 選択性が他のSSRIよりも高い
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セロトニントランスポーターの主要部分のみならず、
アロステリック部位にも作用する。
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主要部位への結合を強め、より安定した再取り込み阻害作用を示す。
(従来のSSRIは主要部位のみのため一定時間経つと解離する)
②副作用
QT延長
※プラセボより多く、統合失調症治療薬に比べると少ない
※禁忌項目に記載がある(添付文書の引用)
「QT延長のある患者(先天性QT延長症候群等)[心室頻拍 (torsades de pointesを含む)、心電図QT間隔の過度な 延長を起こすことがある。]」
その他、よくある副作用
「肝機能障害」・「傾眠」・「悪心」・「めまい」など
※飲み始め1週間くらいは「傾眠」が出やすい
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1週間くらいで慣れることがあるので
1週間は我慢して服用する大切さを伝えることが重要
※吐き気は、SSRIの3-4割くらいに出現するので注意
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ひどい時はモサプリド(ガスモチン®)を使うといい
③特徴
・他のSSRIと比較して最もCYPを介した薬物相互作用が少ない
※フルボキサミンは、CYP阻害が最も多い。
・SSRIで高齢者の用量が添付文書されているのはレクサプロ®のみ
添付文書上に以下のような記載あり
「肝機能障害患者、高齢者、遺伝的にCYP2C19の活性が欠損 していることが判明している患者(Poor Metabolizer)で は、本剤の血中濃度が上昇し、QT延長等の副作用が発現 しやすいおそれがあるため、10mgを上限とすることが望 ましい。また、投与に際しては患者の状態を注意深く観 察し、慎重に投与すること」
→よく見ると、高齢者の最大上限が10mgと書かれている
おまけ: アロステリック部位・効果について
同じ説明ですが、2パターン載せてみる
レクサプロ®にアロステリック効果があるため意味を理解する
・受容体に対する薬物(基質)が結合するところとは別の部位を指す。
結合するものによって受容体機能が影響を受ける。
・活性中心以外の特異的部位(アロステリック部位) にリガンドが結合して高次構造を変え、活性が変化する効果 (アロステリック効果) 要は、本来薬がくっつく所とは、違う所にくっついて効果が変化すること。
例えば、新薬なんかは効果の持続時間が長くなったり 効果が上がったりを狙って注目されている
参考資料
化学系薬学 Ⅱ.ターゲット分子の合成と生体分子・医薬品の化学
レクサプロ®添付文書、インタビューフォーム