2019年8月に中外製薬から
適正使用情報「催奇形性に関する情報および適正使用のお願い」が出されている。
①効果・作用機序
血中エステラーゼにより速やかに分解され、活性体であるミコフェノール酸に変わる
↓
核酸合成のうち、プリン系核酸のde novo系合成経路の主要酵素である
イノシン5’-モノリン酸脱水素酵素を非競合的に阻害
↓
Tリンパ球、Bリンパ球の増殖を抑制する。
なんとも想像できないが、体内で活性代謝物となり、リンパ球の増殖を抑える
②効能・効果
・腎移植後の難治性拒絶反応の治療
(既存の治療薬が無効又は副作用等のため投与できず、
難治性拒 絶反応と診断された場合)
・下記の臓器移植における拒絶反応の抑制
腎移植、心移植、肝移植、肺移植、膵移植
・ループス腎炎
私個人としては、ループス腎炎でしか出したことがない。
あまり見る機会はないかもしれないが、注意点が多くなかなか大変な薬剤である
③女性は特に注意
警告について
「本剤はヒトにおいて催奇形性が報告されているので、妊娠する可能性のある女性に投与する際は、投与開始前に妊娠検査を 行い、陰性であることを確認した上で投与を開始すること。また、 本剤投与前から投与中止後6週間は、信頼できる確実な避妊法 の実施を徹底させるとともに、問診、妊娠検査を行うなどにより、 妊娠していないことを定期的に確認すること。」
・投与前に妊娠が陰性であることを確認しないといけない!
かなり細かく書かれている。
・投与前、投与中、投与中止後6週間避妊しないといけない!
理由
様々な催奇形性が報告されている。
また、流産リスクが上がるため服用を避ける必要がある。
(妊娠3ヶ月ごろに流産するリスクが上がる)
以下はRMPからの引用である。
「1995年から2007年にかけて集積された海外市販後データの報告では,妊娠中にミコフェノール酸が投与された女性77例において,自然流産が25例,胎児又は新生児の奇形が14例確認され,そのうち6例に耳の異常が認められた。また他の文献では本剤投与後の流産のリスクについて45%と報告されている。なお,一般的に自然流産の頻度は全妊娠の8%~15%と報告されている」
通常10%前後の流産が45%まで上がってしまうのだ。
④特徴
・ループス腎炎に用いる場合
投与開始時には原則として副腎皮質ステロイド剤を併用する必要がある。
・2価、3価の陽イオンとキレートを形成し、吸収率が下がってしまう。
飲食物や併用薬に注意する。
マグネシウムやアルミニウム含有薬剤など
・感染症、出血、貧血、好中球減少など注意が必要
→採血結果で、血小板減少、貧血、白血球減少などがないか確認すべき
その他、腎機能低下、下痢、吐気、食欲不振などにも注意
・皮膚がんを防止するため日光・UV光線の暴露を避ける
参考資料
セルセプト®添付文書
セルセプトカプセル250 セルセプト懸濁用散31.8% に係る医薬品リスク管理計画書
(RMP)
Prescribing Information for mycophenolate. RISK EVALUATION AND MITIGATION STRATEGY (REMS) Single Shared System for Mycophenolate;2013
Hoeltzenbein M, et al. Teratogenicity of mycophenolate confirmed in a prospective study of the European Network of Teratology Information Services. Am J Med Genet A. 2012 Mar;158A(3):588-96