薬剤師から質問があったので
「患者さんのための乳がん診療ガイドライン2016」をもとに回答する。
タモキシフェンとアロマターぜ阻害剤にスポットを当てる
関連記事
タモキシフェン(ノルバデックス®)(ホルモン療法)による副作用(ホットフラッシュ、性器、血栓関連)と対策
①ホルモン療法について
何のためにホルモン療法をするのか・・・
ガイドラインには、下記のように記載されている
「ホルモン療法は、エストロゲンを取り込で増殖する性質がある乳がん(ホルモン受容体陽性乳がん)に効果があります。手術後に実施することで,再発を予防する効果が期待でき、進行・再発乳がんでは進行を抑える効果が期待できます。」
「抗エストロゲン薬のタモキシフェン(商品名 ノルバデックス)は,閉経前・後に関係なく用いますが,LH-RHアゴニスト製剤は閉経前に,アロマターゼ阻害薬は閉経後に使用します」
↓
「予防」と「進行抑制」することができる。
質問にあるタモキシフェンは、閉経前・後どちらにも用いる
補足:閉経とは?
閉経とは,年齢が60歳以上か45歳以上で過去1年以上月経がない場合
あるいは両側の卵巣を摘出している場合のことを指す
②タモキシフェンの服用期間について
閉経前
具体的に記載がある。
「タモキシフェンを5年間服用すると,再発の危険性を半分近くに減らすことができます。さらなる投与により再発を減らすことが期待される場合には,副作用との兼ね合いを考えてさらに5年間,計10年間の服用を検討します。 」
↓
とりあえず、10年は服用するケースがある。
閉経後
「アンドロゲンからエストロゲンをつくるアロマターゼの働きを阻害するアロマターゼ阻害薬を使います。アロマターゼ阻害薬には,アナストロゾール(商品名 アリミデックス),レトロゾール(商品名 フェマーラ),エキセメスタン(商品名 アロマシン)の3種類(いずれも内服薬)があります。この3種類の薬の効果は,ほとんど同じとされています」
「アロマターゼ阻害薬を手術後5年間服用すると,タモキシフェンを5年間服用するのと比べて,再発する可能性を5年間で数%改善させます。また,タモキシフェンを2~3年間服用している患者さんが,途中でアロマターゼ阻害薬に変更し合計5年間服用する方法や,タモキシフェンを5年間服用後にアロマターゼ阻害薬に変更して2~5年服用する方法も有効です。アロマターゼ阻害薬の副作用が問題となる場合には,タモキシフェンを使います。 」
↓
閉経後はアロマターぜ阻害剤の方が良さそう
アロマターぜ阻害剤と混ぜて使っても10年くらいは使用する。
補足:アロマターゼとは?
閉経後は,卵巣の機能が低下する
↓
卵巣ではエストロゲンが作られない
↓
副腎皮質から分泌されるアンドロゲンという男性ホルモン
からエストロゲンが作られる
↓
アンドロゲンからエストロゲンに変換する酵素が
アロマターぜである
※脂肪組織などに存在する
参考資料
患者さんのための乳がん診療ガイドライン2016