質問:アミノレバンEN配合散はいつの服用がいいですか?~LESの観点から~
①肝硬変とフィッシャー比について
・肝硬変のとき、肝機能が低下する
↓
肝機能が低下することで芳香族アミノ酸AAAの代謝が下がる
(AAA:フェニルアラニン・チロシン)
↓
分岐鎖アミノ酸であるBCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)
は主に「筋肉」で代謝される
↓
AAAが上昇し、BCAAが低下する
※肝機能低下するとBCAAという分岐鎖アミノ酸が不足してしまう
↓
BCAA/AAA比が低くなる。
このバランスをフィッシャー比という (肝機能の指標のひとつ)
・AAAが上昇すると、AAAは脂溶性のため血液脳関門を通過して脳内に入る
↓
肝性脳症を引き起こす
↓
BCAAを補給してバランスを是正する必要がある
※食事は低タンパク質が推奨される
※BCAA製剤を服用する。(リーバクト®やアミノレバン®EN)
※経口BCAA製剤は肝硬変の薬物治療の中心で
血清アルブミン3.5g/dL以下の低アルブミン血症の方は必須
②リーバクト®とアミノレバン®ENの違いについて
リーバクト®
分岐鎖アミノ酸製剤
分岐鎖アミノ酸であるBCAAのみの組成
血中アミノ酸のバランスを是正してアルブミンの合成促進
適応症
非代謝性肝硬変患者の低アルブミン血症の改善
4.15g/包
1包 約16kcal(リーバクト®配合顆粒)また
1個 約17kcal(リーバクト®配合経口ゼリー)
アミノレバン®EN
肝不全用経腸栄養剤
芳香族アミノ酸を制限しBCAAを多く含む。
タンパク質、糖質、脂質とビタミン、微量元素なども含む。
脳症の改善のみではなく栄養状態の改善効果あり
牛乳アレルギーに禁忌
適応症
肝性脳症を伴う慢性肝不全患者の栄養状態の改善
50g/包
肝硬変時はエネルギー代謝異常もあるので LESが推奨され、
LESにはカロリーが200Kcalほどのアミノレバン®の方が向いている
質問:アミノレバンEN配合散はいつの服用がいいですか?~LESの観点から~
・肝臓機能が低下すると肝臓でのアンモニアの解毒作用が低下
↓
骨格筋によるアンモニアの解毒作用が増加
↓
BCAAの骨格筋での消費が上昇する
・肝臓でのエネルギー産生が低下
↓
骨格筋によるエネルギー産生↑
↓
BCAAの骨格筋での消費が上昇
いつ服用するのが良いのか?
いつエネルギーが不足する?
↓
肝硬変など肝機能が低下しているときは
グリコーゲンを分解し、グルコースを作り出す
↓
「夜間」はエネルギー摂取がないため不足してしまう。
↓
そのため「寝る前」の服用がよい
※就寝前のエネルギー摂取をLESという。
Late evening snack
向いているもの
・200kcalぐらいのエネルギー
・糖質を含むもの
・消化のよいもの
↓
アミノレバン®ENは当てはまる
参考資料
病気と薬パーフェクトbook 2010 p468-472
各添付文書