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検査値 高齢者

高マグネシウム血症について(初期症状・リスク)~マグミット®の服用もご注意を~

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酸化マグネシウム製剤を服用中の高齢者は特に注意が必要である。

①体内のマグネシウムについて

血清マグネシウムの基準値は1.9~2.5mEq/L

症状が出始めるのは3.5mEq/L以上
※4.8mEq/Lになると「徐脈」が起こると言われている

体内のマグネシウムの分布は
骨組織→60~70%
軟部組織(筋肉・肝臓)→30%
細胞外液→約1%

※体内のマグネシウムバランスは、主に腎の尿細管で調節されている

※低マグネシウム血症では「頻脈」「痙攣」「不整脈」などが起こる

②高マグネシウム血症の症状

高マグネシウム血症の初期症状:
「頭痛」、「悪心・嘔吐」、「起立性低血圧(立ちくらみ・めまい)」、「徐脈」、
「皮膚潮紅(皮膚が赤くなる)」、「筋力低下(力が入りにくくなる)」、
「傾眠(ぼんやりする・うとうとする)」、「全身倦怠感(体がだるい)」、
「無気力」、「腱反射の減弱」など、

10mEq/L以上(重篤な場合):
「QT延長」、「呼吸筋麻痺」、「四肢麻痺」、「昏睡」、「心停止」

→息苦しい、意識がもうろうとする、心臓が止まったり・・・

③リスク因子

急性腎不全・慢性腎不全
心疾患
ショック
広範な熱傷
消化管における炎症、出血、潰瘍
腸閉塞
消化管寄生虫疾患
糖尿病性ケトアシドーシス
脱水
横紋筋融解症
腫瘍崩壊症候群
リチウム中毒
甲状腺機能低下症
低アルドステロン症
副甲状腺機能亢進症
副腎不全 など

→腎臓が悪かったり、何かイベントがあると併せて高マグネシウム血症が起こりうることを知っておくべきである。
薬局でも初期症状である「頭痛」「悪心・嘔吐」「傾眠」「倦怠感」など
確認できる症状はあるので聞き取りを忘れないように。
薬歴にもしっかり記録しておこう。

④厚生労働省からの注意喚起

「酸化マグネシウムによる高マグネシウム血症は、
平成24年4月から平成27年6月までに29例(うち死 亡4例)報告され、
このうち19例(うち死亡1例)は酸化マグネシウムの服用と
因果関係が否定できない症例でした。
これらの症例について、専門家による検討を行った結果、
高齢者(65歳以上)や便秘症の患者が多く
腎機能が正常な場合や通常用量以下の投与であっても
重篤な転帰をたどる例が認められました。」

→高齢者だけでなく腎機能が正常であっても注意するように記載されている。
死亡例もあるので意外と重要な副作用・・・

これを受けて製薬会社も
添付文書や注意喚起の患者説明書などを作成している。

⑤製薬会社の説明例(DSU)

「医療関係者におかれては,以下の点について更なる注意をお願いいたします。
・酸化マグネシウムの使用は必要最小限にとどめること。
・長期投与又は高齢者へ投与する場合には,
定期的に血清マグネシウム濃度を測定するなど高マグネ シウム血症の発症に
十分注意すること。
・高マグネシウム血症の初期症状(嘔吐,徐脈,筋力低下,傾眠等)
が認められた場合には,
服用を 中止し,医療機関を受診するよう患者に指導すること。」

おまけ:関連動画

参考資料
厚生労働省医薬食品局.医薬品・医療機器等安全性情報
No252.2008.11
酸化マグネシウム製剤を服用中の患者さん・ご家族の方へ2015.10
丸石製薬株式会社