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糖尿病・糖尿病治療薬

バイエッタとビデュリオンの違い について~特徴や副作用をざっくりと~

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バイエッタとビデュリオンの違い について短時間型と長時間型の違いを理解するのに割と便利なので
ざっくりとまとめる。
短時間型は、そもそも毎日注射必要なので高齢者にはきついかもしれません。認知症や理解力が低い人は注意が必要である。

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エキセンジン-4とGLP-1受容体作動薬 について

バイエッタとビデュリオンの違い

成分はエキセナチドとして共通している。ただ、製剤的な工夫がったり違いがある。

①バイエッタについて

短時間作用型である
半減期1.27時間(1~2時間程度)

用法と特徴

「通常、成人には、エキセナチドとして、1回5μgを1日2回朝夕食前に皮下注 射する。投与開始から1ヵ月以上の経過観察後、患者の状態に応じて1回10 μg、1日2回投与に増量できる。」

「本剤の投与は原則として朝夕食前60分以内に行い、食後の投与は行わないこと。」

※すい臓のβ細胞改善作用より胃内容排出遅延作用により効果を発揮する
(用量依存的)

※上記のため、食後血糖降下作用、体重減少効果が期待できる
→食前に投与するため食後血糖降下作用は長時間型より優れる。

※しかし、胃内容排出遅延作用のせいで消化器症状の副作用が
ビデュリオン®(長時間作用型)より多い

副作用(添付文書より)

「国内臨床試験(スルホニルウレア剤との併用)において、安全性評価 対象288例中224例(77.8%)に副作用が認められ、主なものは、低血糖 症146例(50.7%)、悪心75例(26.0%)、食欲減退41例(14.2%)、腹部 不快感32例(11.1%)、便秘31例(10.8%)、嘔吐26例(9.0%)等であった。」



承認時の副作用を見ると、低血糖は当然あるが、
消化器系の副作用が多い。特に「悪心」の率が高いため
下記のような注意点がある。



「本剤の投与は1回5μg、1日2回より開始すること。1回5μgから10μgに増量した後に、低血糖や胃腸障害が増加する傾向が認められているた め、少なくとも投与開始から1ヵ月以上経過観察を行い、また、有効性 と安全性を考慮して、1回10μg、1日2回への増量の可否を慎重に判断すること。」

※増量時には十分注意すること

※徐々に悪心は減る傾向(数週間から数ヶ月)

②ビデュリオンについて

長時間作用型である。
GLP-1受容体作動薬であるエキセナチドを有効成分とする
世界初の週一回投与の糖尿病治療薬
持続性エキセナチド(バイエッタ®と同じ有効成分)

用法と特徴

「通常、成人には、エキセナチドとして、2mgを週に1回、皮下注射する。」

グルコース依存的に膵β細胞からのインスリン分泌促進
膵α細胞からのグルカゴン分泌を抑制

※その他の作用
満腹感の亢進と食欲減退
体重減少作用(26週間で-1.63kg)

日内の全体的な血糖値を下げる。
バイエッタ®よりもHbA1c改善が見られる

※長時間作用型のため空腹時インスリン分泌を促進する。
空腹時血糖などを下げることができる。
短時間作用型のような胃の排泄への影響は少なく、
消化器系の副作用が少ない

補足:徐放化機序

エキセナチドを生分解性のポリ乳酸・グリコール酸共重合体(PLG) のマイクロスフェア内に包埋することにより、週一回の皮下注射で1日2回投与のバイエッタ®と 同様の効果を示すように設計された持続性製剤
体内で加水分解に従って放出される。

副作用(添付文書より)

「安全性評価対象818例(うち日本人患 者556例)中426例(52.1%)に
副作用が認められ、主なものは、
注射部位硬結161例(19.7%)、悪心104例(12.7%)、
嘔吐62例(7.6%)、注射部位そう痒感55例(6.7%)、
便秘49例(6.0%)、下痢43例(5.3%)等で あった。
(ビデュリオン皮下注用2mg承認時)」

「悪心」などはバイエッタ®より少ない
※数週間で減弱する

「注射部位硬結」はバイエッタ®より多い

③併用薬可否の違い

グリニド系、α-グルコシダーゼ阻害剤、インスリン、DPP‐4阻害薬、
SGLT2阻害薬との併用は明記されていない

バイエッタ®

添付文書より
「食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤単独療法、スル ホニルウレア剤とビグアナイド系薬剤の併用療法、又はスルホニルウレア 剤とチアゾリジン系薬剤の併用療法を行っても十分な効果が得られない場 合に限り適用を考慮すること」



単独で併用してよいのはSU剤
ビグアナイド系とチアゾリジン系はSU剤と併用しているときのみ併用可能

ビデュリオン®

添付文書より
「本剤は、食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤、ビグアナイド系 薬剤、チアゾリジン系薬剤の各薬剤の単独療法、又はスルホニルウレア剤 とビグアナイド系薬剤、スルホニルウレア剤とチアゾリジン系薬剤、ビグアナ イド系薬剤とチアゾリジン系薬剤との併用療法を行っても十分な効果が得 られない場合に限り適用を考慮すること。」



SU剤、ビグアナイド系、チアゾリジン系どれも単独で併用可能

参考資料
アストラゼネカ勉強会資料
バイエッタ®、ビデュリオン®の添付文書、インタビューフォーム