利尿薬の中でもループ利尿薬とサイアザイド系薬は
高尿酸血症を引き起こす可能性がある。
考えられることを2つ整理する。
①原因となる薬剤
・低用量のアスピリン ※大量投与では低下させる
・フロセミド、アゾセミド、ループ系利尿薬、サイアザイド系利尿薬
・テオフィリン
→プリン体異化亢進 →尿酸の産生が増える
②生活習慣
・肉類、アルコール、糖含有ソフトドリンク
・果糖の多量摂取
※アルコールはプリン体に関係なく それ自体の代謝によって尿酸値を上昇させる
※目安:日本酒1合、ビール500ml、ウイスキー60ml
①利尿剤と高尿酸血症
尿酸排泄
利尿剤の投与初期は尿量や尿中Na排泄の増加する
↓
腎臓からの尿酸排泄が促進する
↓
しかし、その後、細胞外液量、腎血流量の低下が起きてしまう
長期使用により細胞外液減少のためGFRが低下
↓
二次的に尿酸の排泄を低下する
(急激な細胞外液の低下が痛風発作を惹起する)
尿酸の再吸収
利尿剤により循環血漿量が低下する
↓
原尿が低下し尿酸のURAT1を介する再吸収が亢進する
※ラシックス®のインタビュー厶では下記の記載がある
「ヘンレ係蹄におけるNa+の再吸収が抑制されることによる代償機能として,近位尿細管での尿酸の再吸収が促進されるので,尿酸の血中濃度が上昇し高尿酸血症を起こす。」
補足
利尿薬の中で,カリウム保持性利尿薬は尿酸代謝への影響が少ない
参考(添付文書・インタビューフォーム)
利尿剤の添付文書などを見ると、しっかり書かれているので頭に入れておくとよい。
患者から何で高いのかな?とか聞かれたこともあるので
知っておくと役に経つのではないだろうか
古い薬でなかなか添付文書を読み返さないこともあるので再度チェックを
フロセミド(ラシックス®)(ループ系)
添付文書
「本人又は両親、兄弟に痛風、糖尿病のある患者
[痛 風発作を起こすおそれがある。糖尿病を悪化するお それがある。]」
インタビューフォーム(高尿酸血症での対処法)
「観察を十分に行い,異常が認められた場合には,
減量または休薬等の適切な処置を行う。」
トリクロルメチアジド(フルイトラン®)(サイアザイド系)
添付文書
「本人又は両親、兄弟に痛風、糖尿病のある患者
高尿酸血症、高血糖症を来し、痛風、血糖値の悪化や顕性化のおそれがある。」
インタビュフォーム(一部抜粋)
「機序は明らかではないが,尿酸値の上昇が報告されている。
尿酸値上昇の機序としては利尿剤投与による循環血流量減少に伴う
尿細管からの尿酸再吸収の亢進,腎糸球体ろ過量の減少に伴う尿酸排泄の低下,
遠位尿細管における尿酸分泌の阻害等が考えられている」
参考資料
ラシックス®添付文書、インタビューフォーム
フルイトラン®添付文書、インタビューフォーム
高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第二版