エリスロマイシンは、経口投与されると胃酸で分解されやすい また、
分解産物であるヘミケタルという物質が胃を刺激することで副作用の原因となる。
そのため、胃酸で分解されないように工夫されて販売されている。
主成分は同じであるが、エリスロシン®錠とエリスロマイシン®「サワイ」錠は違うものなので注意する。
疑義照会をして主治医がOKなら変更は可能であるが、ざっくりと整理しておく。
代替調剤は不可である。
※エリスロマイシン®錠「サワイ」の
先発医薬品にあたるアイロタイシン®錠は販売中止となっている
①製剤上の違い
エリスロシン®錠(+DS)
胃酸から守るためにエリスロマイシンの塩かエステル体にしている
エリスロマイシン®錠は、エリスロマイシンステアリン酸塩である。
つまり、「塩」。プロドラッグ化されている。
インタビューフォームより
「エリスロマイシンの塩及びエステル体であるエリスロマイシンステアリン酸塩と
エリスロマイシンエチルコハク酸エステルはエリスロマイシン塩基となることにより
その抗菌活性を発揮し,塩並びにエステル体そのものは抗菌活性が弱いと考えられている.」
上記の「エステル体」は、ドライシロップ(DS)の製剤のことである。
※粉砕の人がいたらエリスロシン錠を粉砕するのではなく、ドライシロップに変更すべきである。
エリスロマイシン®錠「サワイ」
エリスロマイシンを含有する腸溶性フィルムコーティング錠である。
プロドラッグ化されているわけではない。錠剤自体が腸溶錠。
腸溶錠なので粉砕は出来ない。
②適応症・適応菌種の違い
ざっくり言うと、エリスロマイシン錠「サワイ」の方が、適応が広いため
エリスロマイシン®錠「サワイ」からエリスロシン®錠へ変更する際は注意必要。
全部は記載しないが、添付文書上で言えば
エリスロマイシン®錠「サワイ」の方が、
「膀胱炎」「涙嚢炎」「外耳炎」などエリスロシン®錠より
多く書かれている。
「中耳炎」はどちらも記載あり(笑)
とても暗記はできない・・・
当然、適応菌種もエリスロマイシン®錠「サワイ」の方が多い。
例:赤痢菌など
③サイズの違い
個人的にはここに注目して欲しい。
上記のように大切な違いがあるが、もしも高齢の方で服用する必要があるなら
小さいほうが良いのではないだろうか・・・
サイズの違いを頭に入れておく。
とにかくエリスロシン®錠は大きすぎる・・・
・エリスロシン®錠200mgの場合
直径11.9mm、厚さ5.9mm
・エリスロマイシン®錠「サワイ」200mgの場合
直径10.2mm、厚さ5.1mm
差をとると・・・
直径が1.7mm、厚さ0.8mm
小さな違いと思うかもしれないが実物を見ると
結構違う・・・はず。
適応症の問題や医師のこだわりがなければ
サイズも考慮してもらえると患者のためになるのではないだろうか。
もちろん散剤が大丈夫であればドライシロップでも良い。
参考資料
エリスロシン®錠、添付文書、インタビューフォーム
エリスロマイシン®錠「サワイ」、添付文書、インタビューフォーム
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