14員環系抗菌薬を少量で長期投与することがある。
この使い方は14員環のものに限られている。
エリスロマイシン、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシンなど
非結核性抗酸菌症は少量ではないので今回は除外。
一応下記に用法を引用(クラリス®)
「通常、成人にはクラリスロマイシンとして1日800mg(力価)を2回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。」
①マクロライド系抗菌薬の少量長期投与応用例
慢性気道炎症に用いる。保険適応外使用となる。
例えば、
「びまん性汎細気管支炎(DPB:Diffuse Panbronchiolitis)」、
「慢性副鼻腔炎」、
「慢性気管支炎」、
「気管支拡張症」など
もしかしたら使われるかもしれない疾患(検討中?)
「気管支喘息」、「滲出性中耳炎」など
びまん性汎細気管支炎(DPB)
呼吸細気管支の部分に慢性の炎症が生じている病態
びまん性→広範囲ということ
広範囲のため、呼吸障害が起こる。
呼吸細気管支:気管支と肺胞をつないでいる部分
②作用機序?考えられている作用
・気道の分泌液の過剰抑制
・好中球性炎症の抑制
・リンパ球への作用
など様々な作用によって気道の炎症を抑えていると考えられている。
また、
緑膿菌に対する作用が知られている。
緑膿菌に抗菌作用はないが、バイオフィルムの形成を制御する
Quorum sensing(QS)システムを抑制すると考えられている。
他にもインフルエンザ菌のバイオフィルム形成を抑制することも分かっている。
③用量など使い方慢性副鼻腔炎
びまん性汎細気管支炎(DPB)
エリスロマイシン(エリスロシン®):400mg~800mg/日
クラリスロマイシン(クラリス®):200mg/日
ロキシスロマイシン(ルリッド®):150mg/日
慢性副鼻腔炎
エリスロマイシン(エリスロシン®):400~600mg/日
クラリスロマイシン(クラリス®):200mg/日
ロキシスロマイシン(ルリッド®):200mg/日
投与期間の目安は、疾患によって違うが
数ヶ月で一旦中止したり、増悪したり再燃した場合は再投与したりする。
一応3~6ヶ月がとりあえずの目安だろうか。
とても長い期間服用する人もいるので耐性菌の問題とか
個人的に心配だったり・・・
参考資料
クラリス®添付文書、インタビューフォーム
エリスロシン®添付文書、インタビューフォーム
ルリッド®添付文書、インタビューフォーム
門田淳一, 他:感染症誌. 1994;68(1):27-33