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経腸成分栄養剤(特にエンシュア類)の温め方について

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開封後の保管方法、飲み方の工夫などについても整理する。

各製剤の栄養面などの違いはこちらを参照
https://mibyou-pharmacist.com/2019/07/15/enteral-nutrition/

①エンシュア®、エンシュア®Hについて

温度と安定性

ポイント:温めた際のデータがある(意外と珍しい)

・60℃まで加温試験のデータあり
→問題ないことが分かっている

•60℃以上でたんぱく質やビタミンが分解する可能性があるので、それ以上の温度での試験はメーカーとして行っておらず、推奨していない。

温め方

缶を開けずに湯煎する

50℃から60℃のお湯に3~4分浸す

これで人肌程度30℃から40℃になる

※電子レンジを使う際は、
「別の容器に移すこと」と
「50℃以上に温度が上がらないような設定にすること」

→メーカーに聞く必要がある。
「牛乳」モードなどで大丈夫か確認して欲しい

添付文書に下記のように記載があるが
上記の方法はメーカーに問い合わせたものなので参考にしてほしい
「本剤を加温する場合は,未開缶のまま微温湯(30~40℃)で行い,直火での加温は避けること.」

実際に温め方を実践したので参考にしてほしい
下記のリンクより

開封後の保管

添付文書上の記載
「開缶後は密閉し、冷蔵庫内に保存する。開缶後48時間以内に使用する。冷凍は避ける。」

飲みきれない場合は、前もってコップに移して飲み、
残りはラップをして冷蔵庫に入れると良い。
缶に直接を口を付けると菌が繁殖しやすいので注意する。
※栄養価が非常に高いので菌が繁殖しやすい

なぜ48時間なのか?(メーカーのデータを引用)

「保存条件:4 〜 6℃
保存期間:開封後 72 時間
保存形態:開封後,開口部をアルミホイルでおおい冷蔵庫内に保存
結果 :性状(色,形状,におい)に開封時と比べて変化は認められなかった.
含量試験の結果 :最も変化しやすいビタミンCは経時的に減少し,開封後 48 時間を超えると開封直後の値より20%以上の減少が認められた
微生物試験:開封 72 時間後において菌の発育は認められなかった
以上の結果から,開封後 48 時間以内に投与を終了することとした.」

→ビタミンCの状態から48時間と決められた経緯がある

②エネーボ®について

意外にも加温試験していない(エンシュア®と同じメーカーなのに・・・)

基本的にはエンシュア®と同じだが、試験していないのでメーカーとしては何とも言えないとのこと。

※たんぱく質やビタミンの事を考えると同じ条件なら大丈夫そうだが・・・

③ ラコール®NF、ラコール®半固形、イノラス®について

湯煎はOK。
温度の試験(加温試験)はしていないが未開封の状態で人肌程度に温めるのは問題ないとの回答だった。
エンシュア®やエネーボ®とメーカーが違う。
上記よりも緩い印象を受けた。

一応、成分的にも高温になると、タンパク質が固まったり、ビタミンが分解する可能性があるので、
温める過程で60℃より高くならない方がいいだろうと推察される。

ラコール®半固形の開封後の保存(質問が時々ある)

「ラコールNF配合経腸用半固形剤は、製剤の特性上、外観からは内容成分の変質が判断しにくいため、保存は避けてください。」
「開封後は、微生物汚染及び直射日光を避け、できるだけ早めに使い切ってください。」とのこと

参考までに開封後の安定性については、
「内容成分の安定性は、室温散光下で12時間安定であることを確認しています」
とメーカーの回答あり

ラコール®NFの開封後の保存

「開封後は、微生物汚染及び直射日光を避け、出来るだけ早めに使い切ってください。やむを得ず冷蔵庫内に保存する場合は、24時間以内にご使用ください」

※安定性のデータ( 保存状態:共栓付き三角フラスコ内に保存 )
室温保存 ( 25 ℃、散乱光下 ) : 12 時間以内は安定
室温保存 ( 25 ℃、暗所 ) : 24 時間以内は安定

→微生物汚染については検討されていない

③補足:飲みにくい場合の対策

・冷やして飲むのはOK
・温める場合は、上記参照
・凍らせるのは、 脂質の分離などがあるためお勧めしない
・甘すぎて飲みにくいときは、飲む直前に水か牛乳で薄めると良い

参考資料
各薬剤の添付文書、インタビューフォーム
アボットジャパン問い合わせ
大塚製薬問い合わせ