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呼吸器疾患 感染症・抗菌薬

潜在性結核感染症とイソニアジドの単独投与について~リファンピシンと併用は不要?~(質問)

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潜在性結核感染症(latent tuberculosis infection : LTBI)の治療についてざっくりまとめる。職員よりリファンピシンと併用しなくて良いのか?ピリドキシンはいらないの?という質問を受けたので簡単に・・・

①潜在性結核感染症(latent tuberculosis infection : LTBI)

結核菌に感染しているけれども発病していない状態。
結核菌に感染していること自体が潜在的な疾患であるとの考え方。
リスクの高い対象者に選択的にツベルクリン反応を実施し,陽性者に対して治療を行うことが重要であると言われている。

②イソニアジドの単独投与

LRBI治療薬の原則としてイソニアジドを6か月または9か月内服する。
→9か月間投与した方が発病防止効果が高い
出来ない場合は、リファンピシンを4か月または6か月内服する。
治療法における格付けとエビデンスのレベルをCDC/ATSの声明に準拠すると、
イソニアジドの9か月の内服が一番エビデンスレベルが高い。
潜在性の状態なので2剤併用するケースがあるが・・・
副作用のリスクが上がるので単剤投与することが多い。

ピリドキシンは併用しないの?

副作用の末梢性神経障害がある。
結核ガイドラインでは、
「症状が出た時にピリドキシンを100mg~200mg/日服用する。すべての症例で予防投与は推奨しないと記載されている」

→ピリドキシンを併用しない場面は十分考えられる!

服薬指導時に注意することは?

副作用チェックをすることは、大切です。
末梢性神経障害の自覚の有無「しびれ」などや
手足の触覚の低下の有無
を聞き取りする。

※米国疾病管理予防センター(CDC)では
「栄養障害、糖尿病、HIV感染、腎不全、アルコール依存症の人、妊婦、授乳婦のような神経障害を起こしやすい患者に対しては、25mg/日のピリドキシン投与を推奨する」としている

その他

イソニアジドとリファンピシン共通ではあるが、
肝機能障害には十分注意する。
イソニアジドの肝機能障害は30~35歳以上で出現頻度が高くなる。
重症化したという報告もあるので感染・発病のリスクが明確でない場合に安易 な投与は避けるべきとされている。

③潜在性結核感染症治療レジメンの見直し (2019)

「INH+RFP 3~4 カ月療法をLTBI治療レジメンの一つとして加える。RFP単剤 4 カ月治療は,従来どおりINHが使えない場合の代替とすることを原則とするが,活動性結核の除外と服薬遵守の確保を前提に,INHによる副作用が問題となる可能性が高い場合には使用を認めることを提案する。」
と書かれている。
短い期間となるのがメリットだろうか。
気になる方は是非見てみてほしい。

INH:イソニアジド
RFP:リファンピシン

参考資料
Centers for Disease Control and Prevention: Targeted tuberculin testing and treatment of latent tuberculosis infection.MMWR. 2000 ; 49 (No. RR-6) : 1‒54.
日本結核病学会予防委員会・治療委員会:潜在性結核感染症治療指針. 結核. 2013 ; 88 : 497‒512.
潜在性結核感染症治療レジメンの見直しKekkaku Vol. 94, No. 10 : 515_518, 2019