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循環器 検査値

CHADS2スコアとHAS-BLEDスコアについて~簡単に整理~

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ポイント: 
CHADS2 スコア「梗塞リスク」 HAS-BLEDスコア「出血リスク」
と覚えておくとよい。
今回は2つのざっくりしたイメージの違いを理解する。
おまけ:心房細動におけるバイアスピリン

① CHADS2 スコア

非弁膜症性心房細動における脳梗塞のリスク評価として用いる。
「梗塞リスク」を簡便にチェックするのに便利である。

CHADS2スコアは、
5つの危険因子の頭文字
Congestive heart failure /LV dysfunction(心不全、左室機能不全)Hypertension (高血圧症)
Age(年齢75歳以上)
Diabetes mellitus (糖尿病)
Stroke/TIA(脳梗塞, 一過性脳虚血発作の既往)
から命名された。

CHADS2 スコアと脳梗塞発症率(年間)

2点以上がワーファリン療法の適応
発症率= CHADS2 スコア×2

CHADS2 スコア増加と脳卒中の発症率は相関する。

※ 心房細動治療ガイドラインでは、
CHADS2スコア1点でワーファリンの投与を考慮可、
2点以上でワーファリンの投与を推奨としている

※CHA2DS2-VAScスコア については別記する

② HAS-BLEDスコア

Hypertension:高血圧(収縮期血圧>160mmHg)
Abnormal Renal/Liver Function:
腎 (透析、腎移植後、Cr>2.26mg/dL)
肝機能障害 (慢性肝疾患、ビリルビンが正常上限の2倍以上、AST/ALT/ALPが正常上限の3倍以上)
Stroke:脳卒中
Bleeding or predisposition:出血の既往もしくは出血性素因
Labile INR:不安定なPT-INRのコントロール
Elderly (>65歳)
Drugs/alcohol: 抗血小板剤もしくはNSAIDsの使用 /アルコール依存

HAS-BLEDスコアと重大な出血事象

3点以上高リスク群(4~6%以上)はワーファリン使用時の出血に注意

→「高齢者」と「高血圧」と「肝・腎機能障害」で各1点なのだいたい注意が必要である

③ CHADS2 スコアとHAS-BLEDスコアの関係

どちらも点数が高くなると年間イベントが上がる。
両者を比較すると「高血圧」「高齢者」「脳梗塞/TIAの既往および脳卒中」
は被っており注意が必要である。
梗塞と出血どちらも重要なイベントなので意識するといいかもしれない。

おまけ:心房細動におけるバイアスピリン

ポイント:心房細動においてアスピリンは利益なく、「有害」である。

詳細

日本人の非弁膜症性心房細動を対象として、
アスピリン(150~200mg/日)に「脳梗塞」、「TIA」、「心血管死」
の予防効果があるかランダム化比較試験で検討されている。
中間解析にて

・要評価項目の発症率
アスピリン投与群→3.1%/年 
非投与群→2.8%/年

・重篤な出血
アスピリン投与群→0.8%/年
非投与群→0.2%/年

→アスピリン投与群の出血リスクが4倍高い!

結果
アスピリンを心房細動に対して投与しても脳梗塞の予防効果はない。
また、重篤な出血性合併症を増やしてしまう 

参考資料
CHA2DS2-VAScとHAS-BLEDスコア
日本人の心房細動患者にも有用2014/6/20
バイエル:イグザレルト製品情報
Gage BF , et al : JAMA 285 : 2864-2870,2001
心房細動治療(薬物)ガイドライン 2013年改訂版 P27