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検査値

副腎皮質ステロイド薬と白血球増加について~ざっくりと~

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白血球は体内に侵入した病原体や異物を除去する役割がある。
生体内の免疫反応に関わっており、骨髄中の造血幹細胞が分化することによって白血球が作られる。
好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球に分類される。
病気や薬剤など様々な理由で白血球数は変動する。
今回は、プレドニゾロンなどステロイドによる白血球増加について
ざっくりまとめる

①白血球の正常値

男女差はほとんどない
平均6500/μL
健常者の3分の2:5000~8400/μL
基準値の下限は4000程度
※健常者の1~2%で3000台の人が存在する。

意外と低い人もいるので注意が必要

白血球増加?

白血球増加→好中球増加→感染症とは限らない
「血圧低下」、「頻脈」、「高熱」などのバイタル異常がなければ
緊急性は高くない

補足:急性の白血病の場合
白血球増加に加えて「血小板の減少」、「貧血」を伴うことが多い。

②ステロイド(プレドニゾロン)の作用機序

プレドニゾロンの作用用機序は、「旭化成」の添付文書を参考にしている。

プレドニゾロンは細胞質に存在するグルココルチコイド(GC)受容体に結合

プレドニゾロンと結合した GC 受容体は活性化し、核内へと移動

そこで標的遺伝子の調節部位にある特異的DNA配列と相互作用する

活性化した GC 受容体が認識する特異的 DNA 配列は GC 反応エレメンツ(GRE)とよばれている
GC による遺伝子の転写調節に特異性をもたらしている。
GRE の配列は GGTACAnnnTGTTCT(nはいずれの塩基でもよい)

そこに 2 量体の GC 受容体が結合して標的遺伝子の転写を調節し、
そのmRNA や生成される蛋白量を増減させ抗炎症作用、免疫抑制作用を発揮する。

遺伝子レベルで作用するので色々なことが起こる

③副腎皮質ステロイド薬と白血球増加

一番のポイントは
副腎皮質ステロイド薬は末梢血「好中球」増加をきたす薬剤であるということ。

機序としては、
・骨髄内に存在する成熟好中球プールから末梢血液中へ誘導
・末梢血液中から組織への遊走を抑制
・骨髄での好中球の分化、増殖を促進
・好中球のアポトーシスを抑制する(と言われている)
上記2つがイメージしやすい。

結果として血液中の好中球が増加するため、白血球の数が増加する。

補足

・副腎皮質ステロイド薬の投与で4~6 時間以内に末梢血好中球の増加が起こる
・24 時間以内に元に戻る
・白血球数が20,000μl以上になることは珍しい
・好中球数の増加とともに好酸球数、リンパ球数の低下がみられる

参考資料
プレドニゾロン「旭化成」添付文書、インタビューフォーム
橋本 亮 大田 雅嗣,日内会誌 96:1352~1356,2007