①テルミサルタンの禁忌(添付文書参照)
「(1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
(2)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
(3)胆汁の分泌が極めて悪い患者又は重篤な肝障害のある患者
(4)アリスキレンフマル酸塩を投与中の糖尿病患者
(ただし、 他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著し く不良の患者を除く)[非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている。]」
※アリスキレンフマル酸塩→ラジレス®
今回は(3)と(4)について取り上げる
②胆汁の分泌が極めて悪い患者とは?
インタビューフォームを見ると
「本剤は未変化体としてはほとんど尿中に排泄されず、大部分が胆汁を介して、
グルクロン酸抱合体として糞中に排泄される。従って、
胆汁の排泄が途絶えているような患者や重篤な肝障害のある患者では
本剤が体外に排泄されず蓄積するおそれがある」
胆汁排泄できない人とは・・・どんな人なのか?
メーカーに問合わせた。
胆嚢がない人はだめ?
↓
胆嚢を摘出していても胆道が通っていれば使用可能
↓
血中ビリルビン値が上昇しているかがどうかが重要である。
血中ビリルビンが上昇する人とは?
・原因はさまざまだが「黄疸」の人
例えば、
肝細胞性黄疸→肝細胞機能が障害されている
肝内胆汁うっ滞→薬物による肝障害
胆道系の「閉塞」「胆石」「胆管炎」
補足 :ビリルビンとは?
赤血球の中のヘモグロビンが代謝されて出来たもの
赤血球は脾臓や肝臓で壊れる。
ビリルビンは肝臓に運ばれグルクロン酸という物質と結合し、
胆汁として胆管を通って便中へ排泄される。
基準値:総ビリルビン(0.2~1.2mg/dL)
③アリスキレンフマル酸塩(ラジレス®)を投与中の糖尿病患者
※AⅡ受容体拮抗剤及びACE阻害剤共通の注意事項
添付文書上の記載では、
「アリスキレンフマル酸塩を併用する場合、腎機能障害、 高カリウム血症及び
低血圧を起こすおそれがあるため、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
なお、eGFRが60mL/min/1. 73m2未満の腎機能障害のある患者への
アリスキレンフマル酸塩との併用については、
治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。」
eGFRが具体的に書いてある。
体重が分かっていなくても計算できるので忘れないように・・・
おまけ:その他(特徴)
テルミサルタンについて、その他の特徴を下記に示す
・血中半減期が20~24時間と、半減期の長いAⅡ受容体拮抗薬
・胆汁排泄100%
・CYP代謝の影響は受けない
代謝の違いについてはこちらを参照のこと
ARBの代謝の違い
参考資料
ミカルディス®添付文書
メーカー問い合わせ
薬食案発0605第1号別紙2
2012年6月5日