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産科・婦人科 高血圧

妊娠高血圧症候群Hypertensive Disorders of Pregnancy (HDP) と妊娠高血圧腎症Preeclampsia(PE)

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難しくて避けていた項目。
一応忘れないようにメモ的な感じでざっくりまとめる
治療薬については別の記事で記載予定
今回は定義などを主に。

妊婦への降圧剤についてはこちらを参照

①妊娠高血圧症候群 Hypertensive Disorders of Pregnancy (HDP)

妊娠中に血圧が140/90mmHgを超える患者は全て。
(妊娠前からあったものも含めて)

HDPは全妊娠の1~3%に発症(日本での患者数1万~3万人/年)
初産婦の高齢化で増加?

ざっくりとイメージ

・妊娠前から高血圧を認める場合、もしくは妊娠20週までに高血圧を認める場合

→高血圧合併妊娠

・妊娠20週以降に高血圧のみ発症する場合

→妊娠高血圧症

・高血圧と蛋白尿を認める場合

→妊娠高血圧腎症

高血圧が妊娠に与えるリスク

・母体に対して
高血圧、タンパク尿、腎障害、全身性浮腫、頭痛、胸水、腹水、視野狭窄、
心窩部不快感、腱反射亢進、子宮収縮増加

・胎児に対して
胎児形態異常、流産、胎児発育不全、羊水過少、胎児機能不全

・注意すべき合併症
子癇発作、脳出血、脳梗塞、慢性腎不全への移行、急性妊娠脂肪肝、常位胎盤早期剥離、子宮内胎児出血、加齢後の高血圧増加、加齢後の腎臓悪化増加

②妊娠高血圧腎症:Preeclampsia(PE)

原則:入院管理する
ただちに降圧療法を施行する必要がある

どんな場合がPE?

1.妊娠20週以降に初めて高血圧を発症し、
かつ蛋白尿(300mg/日以上、またはP/C比0.3以上)を伴うもので分娩12週までに正常に復する場合。
※P/C→蛋白/クレアチニン比

2. 妊娠20週以降に初めて発症した高血圧に蛋白尿を認めなくても
以下のいずれかを認める場合で、分娩12週までに正常に復する場合。

・基礎疾患の無い肝機能障害
(肝酵素上昇 :ALTもしくはALT>40IU/L、治療に 反応せず他の診断がつかない重度の持続する右季肋部もしくは心窩部痛)
※ 右季肋部 :おなかの右上の肋骨あたり

・進行性の腎障害(Cr>1.0mg/dL、他の腎疾患は否定)

・脳卒中,神経学的障害(間代性痙攣・子癇・視野障害・頭痛など)

※間代性痙攣
四肢や体幹の拮抗筋(伸展させる筋肉と屈曲させる筋肉)が交互に収縮と弛緩を反復する。手足をばたつかせたり、顎ががくがくしたりする。

※子癇
妊娠20週以降に痙攣発作を起こし、てんかんや二次性痙攣が否定されるもの

・血液凝固障害(血小板減少:<15万/μL, DIC,溶血)

・胎児胎盤機能不全


※ 尿中に蛋白が1日当たり0.3g以上出ること
(重症では2g以上)を蛋白尿を認めたとしている。

③重症とは?

ハイリスクでないと誤解される可能性があるため、原則軽症という言葉は用いない

・妊娠高血圧・妊娠高血圧腎症・加重型妊娠高血圧腎症・高血圧合併妊娠 において、次のいずれかに該当する場合

収縮期血圧 160 mmHg以上の場合
拡張期血圧 110 mmHg以上の場合

・妊娠高血圧腎症・加重型妊娠高血圧腎症において,
母体の臓器障害・胎盤機能不全を認める場合

※タンパク尿の具合で重症分類は行わない

おまけ:発症時期による分類

妊娠34週未満に発症するもの→早発型(early onset type:EO)
妊娠34週以降に発症するもの→遅発型(late onset type:LO)

参考資料
妊娠高血圧症候群の治療指針2015
産婦人科診療ガイドライン2017
公益社団法人 日本産科婦人科学会 ホームページ