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産科・婦人科 高血圧

妊婦と降圧剤について~通常の第一選択薬とは違うので注意~

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胎児の安全性を考慮して選択する必要がある。
妊娠前からARBやACEIを服用している場合は、妊娠中、絶対禁忌なので
妊娠発覚後に変更する必要がある。

おまけ:ARBとACEIのリスク

妊娠高血圧症候群Hypertensive Disorders of Pregnancy (HDP) と妊娠高血圧腎症Preeclampsia(PE)についてはこちら参照

①妊婦での降圧剤の第一選択薬

下記の3剤が第一選択薬として考えることが出来る。
その特徴をざっくり整理。

メチルドパ(アルドメット®)

・維持量は1日1回から3回の服用
・α2作動薬
・子宮胎盤血流量や胎児循環動態への影響が少ない
・7.5年の追跡調査でも子供への影響が示されなかった。
・禁忌:肝機能障害(急性、慢性関係なし)
・主な副作用:肝障害、傾眠、発熱

ラベタロール(トランデート®)

・基本的に1日3回の服用
・α1遮断:β遮断=1:3
・早朝覚醒時の急激な血圧上昇を抑制する
・副作用が少なく安全性が高い
・主な禁忌:糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシス、高度徐脈、ブロック、気管支喘息など
・主な副作用:頭痛

ヒドララジン(アプレゾリン®)

・1日3回から4回服用
・血管拡張薬で降圧剤として使われるケースは少なくなっている
→妊婦以外には使われるケース稀
・重症高血圧症に対してはラベタロールやニフェジピンより劣っている

・頭蓋内出血がある場合は使用できない。否定できない場合は、使用しにくい

・主な禁忌:虚血性心疾患、大動脈弁狭窄、僧帽弁狭窄、拡張不全による心不全、高度頻脈、高心拍出性心不全、肺高血圧症による右心不全、解離性大動脈瘤、頭蓋内出血急性期

・主な副作用:新生児血小板減少、頻脈

・効能・効果の部分に「妊娠高血圧症候群による高血圧」の記載あり
上の2つに、この記載はない。一応・・・

②上記3つで不十分な場合(併用)

ガイドライン上考えることが出来る併用は、
・「メチルドパ」+「ヒドララジン」
・「ラベタロール」+「ヒドララジン」
・「ラベタロール」+「長期時間作用型ニフェジピン」

※ニフェジピンに関しては妊娠20週以降の使用しか認められていない。
※経口剤で降圧効果が不十分場合は、静注薬が使われることがある。
ニカルジピンやヒドララジンなど

期間による整理

妊娠20週以内→ヒドララジン+(ラベタロールかメチルドパ)
妊娠20週以降→
交感神経抑制薬(メチルドパかラベタロール)+血管拡張薬(ヒドララジンか長時間作用型ニフェジピン)

おまけ:ARBとACEIのリスク

一応報告があるリスクについてだけ簡単に下記にまとめる

アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)

腎不全、腎奇形、外表奇形、死産など

アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)

高度な頭蓋骨形成不全、腎形成異常、肺低形成、胎児発育不全
胎児死亡、無尿、羊水過少、新生児死亡など

参考資料
妊娠高血圧症候群の診療指針2015
今日の治療薬2019
各薬剤の添付文書