元々院内製剤としてメトロニダゾール経口剤などから調整されていた。(作られていた)塗り薬である。
有効成分としてメトロニダゾールを 0.75%w/w(7.5mg/g)含有する水性ゲル製剤である。
2020年「酒さ」に対して効能効果に追加になっている。
①特徴について
効能・効果
「がん性皮膚潰瘍部位の殺菌・臭気の軽減」
「酒さ」
※上記の臭気とは?
皮膚潰瘍を伴った進行がんの腫瘍部から発生する強烈な臭気のことだる
主に、この臭気は嫌気性菌が産生する脂肪酸やポリアミン類などに由来する。
※経口剤では効果がない?
そんなことはないが、副作用防止のため局所作用のゲルが用いられる
用法・用量
「症状及び病巣の広さに応じて適量を使用する。潰瘍面を清拭後、1日1~2回ガーゼ等にのばして貼付するか、患部に直接塗布しその上をガーゼ等で保護する。」
※綺麗にした後、塗布、ガーゼが必要である。
ガーゼで保護することが大切。
※なぜガーゼで保護することが大切なのか?
重要な基本的注意に以下のような記載がある。
「患部を刺激することにより、潰瘍部位の血管が損傷し、出血を招くことがあるので、ガーゼの交換等の処置は十分注意して行うこと」
↓
出血することがあるので、ガーゼ交換にも気を付ける必要がある。
※刺激感が強かったりする場合は、回数を減らすか中止を考慮する必要がある
→灼熱感(熱っぽい感じ)や刺激感を訴えることがあるので使用感は聞くべき
塗布量
メーカーから具体的な目安が示されている
以下メーカーからの返答
「10cm×10cmの潰瘍に約8gの投与量を推奨しております。約8gの目安としては、10cm×10cmの中央にロゼックス®ゲルを渦巻状に約3周、
直径4.2cm~4.6cmの円を埋めるように出すと約8gとなります」
臭気について
抗がん剤治療などで免疫力が低下することで嫌気性菌が増殖するためである。
具体的な臭気物質としては、プトレシンやカダベリンなどが報告されている。
この臭いが治療中の患者の苦痛となるため、非常に重要なテーマといえる。
薬理作用
嫌気性条件下でニトロ基が還元される。
↓
原虫または、菌内でニトロソ遊離基に変化する
↓
これが菌のDNAと結合してDNA合成を阻害する。
↓
さらに、産生されるフリーラジカルがDNAの二重鎖を切断する作用もある。
※ヒドロキシルアミン付加体
↓
以上の作用で増殖を抑制することが出来る。
その他の特徴
•妊娠3か月以内の婦人禁忌
•紫外線照射により不活性体に転換され、効果が減弱する
※日光または、日焼けランプ等による紫外線暴露を避ける必要あり
②他の使い方
2022年に「酒さ」に対して効能効果の追加となった
酒さは、赤ら顔の症状が特徴的である。
頬などでは目立ち、ボツボツしたり、ボコボコしたりする
皮膚の表面の免疫低下やダニの1種が原因と言われている。
この酒さに効果があるという報告が多くある。
※FDAにおいては酒さの第一選択薬
海外データでは、1%メトロニダゾール軟膏の有効率は50~65%とされている。
参考資料
ロゼックス®添付文書、インタビューフォーム
マルホ株式会社への問い合わせ
Freeman CD. et al.:Drugs., 54(5), 679-708, 1997
Bendesky A. et al.:Mut Res., 511(2), 133-144, 2002