大黄甘草湯 の「甘草」の意味について調べてみた。
そもそも「大黄」だけで瀉下作用があるのに、
なぜ「甘草」と合わせて 大黄甘草湯にしているのか気になったのでまとめる。
おまけ:「大黄」と「アロエ」の違いについて
①大黄甘草湯 の「甘草の意味」
ツムラ「大黄甘草湯」の適応症(効能・効果)は「便秘症」のみである。
大黄は「瀉下作用」と共に「収斂作用」がある。
大黄には「タンニン」という成分が入っているので便秘を引き起こしてしまう。
なので・・
大黄のみをずっと飲んでいくと「瀉下作用」が減ってきてしまう。
また、強い腹痛「大腸痙攣性腹痛」を伴う下痢を起こすことがある。
そのため、「甘草」による「鎮痙作用」で、そのマイナス面を補っている。
さらに「大黄」の利尿作用もマイルドにしている。
※「甘草」による副作用に注意(詳しくは別の機会に)
偽アルドステロン症の発現に注意
補足
大黄は小腸に作用しないので消化吸収には関係しない
大黄による瀉下作用は、
センノシドAおよびセンノシドBが腸内細菌によって代謝され
レインアンスロンという活性代謝物が関わっている考えられている。
②おまけ:「大黄」と「アロエ」の違いについて
どちらも便秘によく使われるものである。
ただし、「アロエ」(生薬名ろかい)は民間薬や健康食品で多く見られており、
「大黄」は漢方薬に入っていることが多い。
どちらアントラキノン類を含むために「瀉下作用」がある
違い:「タンニン」の有無
2つの違いは、「タンニン」の有無である。
「アロエ」にはタンニンがなく、「大黄」にはタンニンが含まれる。
その違いで何が変わるの?
「タンニン」によって便秘を引き起こすことがあるので・・・
そういった作用(便秘)が「アロエ」にはないのである。
では「アロエ」の方がいいのか?
※大黄に含まれるタンニン類:ラタンニン、エピガロカテキンなど
「アロエ」を服用する際、注意すべき人
骨盤内充血を起こすことがあるため
「月経」や「妊婦」の方には使用は控えたほうがいい
※「大黄」も「妊婦」に投与は好ましくない。
子宮収縮作用、骨盤内充血を起こす可能性がある
補足:「アロエ」の特徴
薬性は「寒」
簡単に言うと、熱をさげる作用がある。
「便秘」に用いることから瀉下作用もある。
漢方薬的には熱がこもるとイライラしたりするので
「イライラ感」や「熱証の便秘」「軽いやけど」などに用いる
※やけどの時に「アロエ」塗ったことがある人も多いのではないだろうか
参考資料・文献
スキルアップのための漢方薬の服薬指導 南山堂
大黄甘草湯 添付文書