術後食道炎 について使われる薬剤や生活指導などに触れる。
マイナーな内容だと思うが知っておくと良い
①術後食道炎 について
術後食道炎は、「胃をどれくらい切除したか」、「どこを切除したか」によって原因となる液が違ったりする。胃液だったり腸液だったり・・・
胃切除後の食道炎は術後1年以内に多く見られる。
術後の経過とともに改善することも多い。
術後早期に消化管運動障害や癒着が起きやすいと考えられている。
長期間続く場合や出現した場合は、腫瘍再発や癒着による通過障害の可能性がある 。
食道粘膜傷害の治癒と寛解の維持は、合併症の予防のために大切である。
※合併症:「貧血」、「出血」、「食道狭窄」、
「Barrett食道」、「食道腺癌」など
barrett食道についてはこちらを参照
原因
酸暴露時間と食道炎は相関することが分かっている。
他には、「タバコ」、「アルコール」、「臥位」など • •
胃液:「胃酸」「ペプシン」
十二指腸液:「トリプシン」、「胆汁酸」
②使われる薬剤
食道炎の治癒と維持はプロトンポンプ阻害薬(PPI)により80~90%可能である。
胃切除後、特に幽門側胃切除後(胃の下側)では、「胃酸の逆流」や「十二指腸液の逆流」がある。 幽門側胃切除後(胃の下側)や噴門側胃切除後(胃の上側)には、PPI、モサプリド、六君子湯が有用と言われている。
プロトンポンプ阻害薬(PPI)
単純に胃液の逆流が原因の場合に、胃酸の分泌を抑えることで症状を改善する。非常にイメージしやすい。
例:ネキシウム®、タケプロン®など
モサプリド(ガスモチン®)
胃、十二指腸のセロトニン5-HT4受容体を刺激
↓
アセチルコリン遊離
↓
アセチルコリンにより胃腸の運動を活発にする。
※内視鏡検査での残胃炎や胆汁逆流の改善が報告されている。
六君子湯
漢方的な詳しい解説は別記事でまとめたいと思っている。
簡単に言うと胃の排出能を改善することが知られている。
消化管の運動改善作用がある。
PPIが効きにくい胃炎などに使われたりする。
カモスタット(フオイパン®)
タンパク質分解酵素阻害薬は、トリプシン活性を抑制
↓
膵液による食道粘膜傷害を防ぐ
添付文書にも「術後逆流性食道炎」の記載がある
③生活指導
・1回の食事量の制限(少しずつ食べる)
・食後のfowler位の励行 (半座位)
→寝転がったりしない
・肥満、便秘の解消
・夕食後から寝る前までの時間をあける(いきなり寝ない)
エビデンスを見つけることは難しいが、通例というか昔から上記のことは
行われている。
参考資料
胃食道逆流症GERD診療ガイドライン2015(改訂第2版)
日本消化器病学会
フオイパン®添付文書