" />

胃腸・消化器関連

胃食道逆流症( GERD )について~対策・治療など~

スポンサーリンク

胃食道逆流症( GERD )について対策や治療などについて簡単にまとめる。
おまけ:バレット食道についても少し触れています

関連記事
術後食道炎 について~使われる薬剤や生活指導など~

①胃食道逆流症( GERD )とは?

胃にある内容物が食道の方に逆流することで引き起こされる様々な病態のことを言う。原因としては胃酸が多い。
日本の成人の10~20%はいると言われており、年々増加している。

GERD:Gastro Esophageal Reflux Disease

症状

主な症状は、「胸やけ」「酸逆流」の2つがメイン。
他にも・・・
「食べ物がつっかえる感じがする」
「胸が痛い」
「咳が続く」
など

※診断の際に狭心症と間違われることがある

いつ症状が出る?

GERDの症状が多いのは「夜」から「朝方」である。
理由としてはいくつかあるが・・・
・夜は寝ている(横になっている)ため、胃酸の逆流が起こりやすい。
・夜間は唾液分泌が少ない

※ストレスが多くてGERDの症状が出る人は、
「昼間」や「仕事中」に起こることもある。

分類

3つに分けられるので簡単にまとめる。

○食道炎(食道粘膜のただれ)がなく自覚症状のみがあるもの

→「非びらん性胃食道逆流症」:Non-Erosive Reflux DiseaseからNERD
ともいわれる

○食道炎があり、なおかつ自覚症状があるもの

○自覚症状はなく、食道炎のみがあるもの

※下の2つは逆流性食道炎と呼ばれる
※NERD+逆流性食道炎→GERD
※食道炎の有無は内視鏡にて確認する

②GERD の対策

食生活で良くないのは、「夜食」「大食い」「早食い」であるため、
これらを避ける。また、胃酸の逆流は、食後2~3時間で起こることが多いため、
夕食の後、理想では「3時間」、無理なら「2時間」は横にならないことが大切である。

③GERD の治療

エビデンスレベルは、胃食道逆流症ガイドライン(2015)より参照

・胃酸を抑える薬(エビデンスレベルA)

プロトンポンプ阻害薬(PPI)を用いる。
最初のPPIで効果が不十分であれば、別のPPIに変更することもある。
場合によっては、H2ブロッカーを使うこともあるが、
相対的には、PPIの方が優秀なことが多い。

・酸を中和する薬(エビデンスレベルB)
制酸剤

※ただし、効果時間が短いため制酸剤のみの治療は現実的ではない

・消化管の運動を改善する薬(エビデンスレベルC)

モサプリドは、PPIの上乗せすることで効果が認められている

・漢方薬の六君子湯(エビデンスレベルC)

PPIと併用することで、PPIを倍量飲むのと同等の効果が示されている

おまけ:バレット食道

逆流性食道炎から「バレット食道」と呼ばれる食道の変化が起こり癌につながることが分かっている。
そのため、しっかりと治療することが大切である。
通常の食道がんは「扁平上皮癌」が多いが、バレット食道から引き起こされる食道がんは「腺癌」である。
バレット食道が起こる部分は「食道と胃の間」。
食道が胃酸でダメージを受けた後、治ろうする過程で
食道の細胞が、胃の細胞に置き換わってしまうためである。

※今のところ日本人の食道がんの9割以上は扁平上皮癌であり、腺癌は5%以下。
欧米では、食道癌の中で食道腺癌が50%ぐらい占めるところは興味深い。

参考資料
胃食道逆流症ガイドライン2015