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皮膚科 眼科・点眼薬

ヒドロキシクロロキン (プラケニル®)による網膜症について

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ヒドロキシクロロキン (プラケニル®)を服用することで網膜症を引き起こすことがあるので簡単にまとめる。発生機序などの詳細は分かっていない。
薬剤としては、「皮膚エリテマトーデス」、「全身性エリテマトーデス」に用いる。

ヒドロキシクロロキン (プラケニル®)による網膜症

ヒドロキシクロロキンの網膜症のリスクは用量依存的なことを最初に覚えると良い。また、体重による量の調節が必要であり、定期的な眼科受診が必要。
もしも視力異常があれば中止する必要があるので処方医、眼科医との連携も大切である。

添付文書上の記載

【警告】
「本剤の投与により、網膜症等の重篤な眼障害が発現することがある。網膜障害に関するリスクは用量に依存して大きくなり、また長期に服用される場合にも網膜障害発現の可能性が高くなる。このため、本剤の投与に際しては、網膜障害に対して十分に対応できる眼科医と連携のもとに使用し、本剤投与開始時並びに本剤投与中は定期的に眼科検査を実施すること。」

【禁忌】
「網膜症(ただし、SLE網膜症を除く)あるいは黄斑症の患者又はそれらの既往歴のある患者[副作用として網膜症、黄斑症、黄斑変性が報告されており、このような患者に投与するとこれらの症状が増悪することがある」

【用法及び用量に関連する使用上の注意】

(1)「本剤投与後の脂肪組織中濃度は低いことから、実体重に基づき本剤を投与した場合、特に肥満患者では過量投与となり、網膜障害等の副作用発現リスクが高まる可能性があるため、実体重ではなく、身長に基づき算出される理想体重(下表)に基づき投与量を決定すること。」

※女性の場合
・136cm以上154cm未満(理想体重31kg以上46kg未満)→1錠(200mg)/回
・154cm以上173cm未満(理想体重46kg以上62kg未満)
→1錠(200mg)/回と2錠(400mg)/回を1日おき
・173cm以上(理想体重62kg以上)→2錠(400mg)/回

※男性の場合
・134cm以上151cm未満(理想体重31kg以上46kg未満)→1錠(200mg)/回
・151cm以上169cm未満(理想体重46kg以上62kg未満)
→1錠(200mg)/回と2錠(400mg)/回を1日おき
・169cm以上(理想体重62kg以上)→2錠(400mg)/回

(2)「本剤には網膜障害を含む眼障害の発現リスクがあり、1日平均投与量として6.5mg/kg(理想体重)を超えると網膜障害を含む眼障害の発現リスクが高くなることが報告されていることから、用法及び用量を遵守すること。」

インタビューフォームには、1日6.5mg/kg(理想体重)を越えて投与することは避けることと記載されている

【重要な基本的注意(一部)】
「本剤の投与に際しては、事前に両眼の視力、中心視野、色覚等を、視力検査、細隙灯顕微鏡検査、眼圧検査、眼底検査(眼底カメラ撮影、OCT(光干渉断層計)検査を含む)、視野テスト、色覚検査の眼科検査により慎重に観察すること。長期にわたって投与する場合には、少なくとも年に1回これらの眼科検査を実施すること。また、以下の患者に対しては、より頻回に検査を実施すること
・累積投与量が200g を超えた患者
・肝機能障害患者又は腎機能障害患者
・視力障害のある患者
・高齢者」

とにかく眼科受診を薬局では促すことが大切

「視力低下や色覚異常等の視覚障害が認められた場合は、直ちに投与を中止すること。網膜の変化や視覚障害は投与中止後も進行する場合があるので、投与を中止した後も注意深く観察すること。」

視力の異常があれば中止しないといけない

「視調節障害、霧視等の視覚異常や低血糖症状があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作や高所での作業等には注意させること。」

今回のテーマとは外れるが、低血糖のリスクは糖尿病治療薬を服用しているかは関係ない。

注意すべき人/眼科を受診するタイミング

日本眼科医会の医療対策部とインタビューフォームによると眼科を受診するタイミングや注意すべ気人は?

・処方前
・処方開始後は 1 回/年

※ただし, 下記危険因子のある場合はより頻回 (1 回/6 ヶ月など)とする。
・腎機能障害,肝機能障害
・累積投与量が 200 g を超えた場合
・視力障害を有する
・高齢者

※サノフィ株式会社によると上記に加えて
・SLE網膜症を有する患者
・視野異常等の機能的な異常は伴わないが、眼科検査(OCT検査等)で異常が認められる患者

参考資料
プラケニル®添付文書、インタビューフォーム
「ヒドロキシクロロキン網膜症のスクリーニング」の周知について
日本眼科医会の医療対策部 日本の眼科 88:1 号(2017)80-84
プラケニル®適正使用のお願い サノフィ株式会社