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感染症・抗菌薬

ユナシンとオーグメンチンの違い ・特徴・注意点について~クラバモックス®の事も少し~追記予定

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ユナシンとオーグメンチンの違い ・特徴・注意点について触れる。クラバモックス®の事も少し載せている。スルタミシリントシル酸塩水和物錠(ユナシン®)とアモキシシリン水和物・クラブラン酸カリウム錠(オーグメンチン®)(クラバモックス®)の違いは細かいが知っておくと良い。

①ユナシン®

特徴

アンピシリンとスルバクタムのエステル結合したもの。
体内に入って分解されるように作られている。
スルバクタムがβ-ラクタマーゼ阻害作用を有する。

用法用量

「スルタミシリンとして、通常成人1回375mg(力価)を1日2~3回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。」

→1日2回の投与も可能
※オーグメンチン®は3回服用する必要がある

併用注意な薬剤(抜粋)

特徴的な併用注意の薬剤として、アロプリノールがある。

添付文書より抜粋
「アンピシリンとの併用により、発疹の発現が増加するとの報告がある」
「機序不明だが薬剤性の発疹がアロプリノールとアンピシリンを併用していた67例の入院患者のうち22.4%に認められ、アンピシリン単独服用例の1,257例では7.5%に認められた。またアンピシリンを併用しないアロプリノール服用患者283例のうち2.1%が薬剤性発疹を経験したという報告がある」

※理由は不明だが、併用により発疹のリスクが増大するので注意が必要

注意点

・オーグメンチン®に比べ、海外での使用例が少ない。

・食道に停留し、崩壊すると、まれに食道潰瘍を起こすおそれがあるので多めの水で服用させ、特に就寝直前の服用等には注意する必要がある。

※オーグメンチン®にこの注意はない

・抗菌作用はユナシン®もオーグメンチン®も変わらない

②オーグメンチン®

特徴

アモキシシリンは、アンピシリンの経口吸収性を向上させている成分である。
また、β-ラクタマーゼ阻害薬のクラブラン酸カリウムを配合している。

用法用量

「オーグメンチン配合錠125SS:
通常成人は、1回2錠、 1日3~4回を6~8時間毎に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
オーグメンチン配合錠250RS:
通常成人は、1回1錠、1日3~4回を6~8時間毎に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する」

※最低でも1日3回服用する必要があるので注意。

併用注意な薬剤(抜粋)

特徴的な併用注意の薬剤として、ミコフェノール酸モフェチル(セルセプト®)がある。

添付文書より抜粋
「ミコフェノール酸モフェチルの効果が減弱するおそれがある。」
「併用により、ミコフェノール酸モフェチルの活性代謝物であるミコフェノール酸のトラフ値が約50%低下したとの 報 告 が ある。本剤は、ミコフェノール酸の腸肝循環による再吸収を抑制する可能性があると考えられる」

※思ったより影響があるので注意すること

注意点

・「この成分に肝機能障害の既往歴がある人には、禁忌」
→ユナシン®にこの文言はない

・ユナシン®とオーグメンチン®の抗菌力は、どちらも変わらない

・肺炎球菌には、オーグメンチン®の方がよいという論文があるが、
変わりないと言われている

・ユナシン®、オーグメンチン®どちらも出血傾向に注意する
(ペニシリン(系)が血小板の凝集・凝固に影響を与え、出血傾向を増強するおそれがある)

※特に高齢者は気を付ける必要がある。

・アモキシリン単独に比べて、消化器症状の副作用が多いので注意
(悪心・嘔吐・下痢・腹痛など)

③クラバモックス®

オーグメンチン®と同じ、アモキシリンとクラブラン酸カリウムの配合錠である。ただ、配合比率が違う。
※以前販売されていたオーグメンチン®小児用顆粒を改良したもの

・オーグメンチン®
→クラブラン酸カリウム:アモキシリン=1:2

・クラバモックス®
→クラブラン酸カリウム:アモキシリン=1:14

※クラブラン酸カリウムの配合を少なくすることで
クラバモックス®は、オーグメンチン®に比べて消化器系の副作用が少ない。
さらに、アモキシリンを増量することで抗菌力を高めている。
ペニシリン耐性肺炎球菌などの耐性菌にも有効なことがあるので知っておくとよい。

※1日2回の服用12時間ごとに食直前に服用する必要がある。
→クラブラン酸カリウムが食直前の服用により安定したバイオアベイラビリティを示すため設定されている

参考資料
ユナシン®錠、添付文書、インタビューフォーム
オーグメンチン®錠、添付文書、インタビューフォーム
クラバモックス®小児用配合ドライシロップ、添付文書、インタビューフォーム