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精神科

トリンテリックス錠 (ボルチオキセチン)の特徴について~今後追記予定~

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トリンテリックス錠 の特徴について簡単に整理する。一般名は、ボルチオキセチンである。
今までのSNRI、SSRI、NaSSAと違い新規の薬理作用を有する薬剤である。
再取り込み阻害作用と受容体作用を合わせ持つ薬剤である。

関連記事
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)による副作用(性機能障害、射精障害)を考える~原因・症状・対策~

①トリンテリックス錠 の特徴

基本的には、セロトニン1A受容体へのアゴニスト作用が重要となっており、抗うつ作用と抗不安作用を目的にしている。

効能・効果

「うつ病・うつ状態」

※まだ発売されたばかりであるため(2019年)
今後?もうすでに?強迫性障害やストレス障害などに使われていくかもしれません。この辺は今後追記したいと思う

用法・用量

1日1回の服用でOKなところは良さそう。

「通常、成人にはボルチオキセチンとして10mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により1日20mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて行うこと。」

薬理作用

上でも述べたようにセロトニン1A受容体アゴニスト作用が基本であり、セロトニンを増やすことがポイントである。
とにかく細かい作用が多すぎて理解しにくい
セロトニンへの作用としては、1Aと1Bに対してアゴニスト作用(刺激作用)があると理解するとイメージしやすいかも。
※1Bへの作用は部分刺激

インタビューフォームの記載
「セロトニン再取り込み阻害作用とセロトニン受容体調節作用
セロトニンの再取り込み阻害作用に加え各セロトニン受容体に対してアゴニスト/パーシャルアゴニスト/アンタゴニスト作用を有している。」

ものすごく分かりにくい・・・
一応、箇条書きで下に書くが、今後もっと整理できればと思っている。

【各作用の詳細】
※セロトニン1A 受容体(5-HT1A)アゴニスト作用
※セロトニン1B 受容体(5-HT1B)部分アゴニスト作用

※セロトニン1D、3、7受容体アンタゴニスト作用
→この「3」への作用で、「吐き気」の副作用が少ない?

※セロトニン濃度の上昇のみならず
セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミン、アセチルコリン、ヒスタミンの遊離を促進する

※セロトニン1A、1B、1D、ネガティブフィードバックの機能を有している
→シナプス間隙のセロトニン量を増やす
※セロトニン1Aの関わる脱感作作用などがあるが、今回は割愛

※セロトニン1A、セロトニン1B、セロトニン3、5-セロトニン7受容体
に対する作用
→アセチルコリン作動性神経伝達およびヒスタミン作動性神経伝達を亢進
することで、「認知機能」への良い効果が期待できるとのこと
認知機能障害を緩和する。

※海外のうつ病ガイドラインでは、第一選択薬もしくは、他のうつ病薬で効果不十分の場合の第二、第三選択薬として推奨されている。

副作用

セロトニンを増やす効果があるので、それに付随する副作用が起きやすい。
例えば、一番多い「悪心」は、セロトニンが増えることによる胃腸障害が関係している。他にも「嘔吐」や「下痢」に注意が必要である。

「傾眠」も多いが「不眠」にも注意する。セロトニンにより眠りが浅くなることがあるからだ。

また、抗うつ薬共通の「性機能障害」も1%未満のところに記載があるので
注意は必要である。

よくある副作用(添付文書)
「大うつ病性障害患者を対象とした国内臨床試験及び国際共同試験において、1,050例(うち日本人708例)中、499例(47.5%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められた。主な副作用は悪心200例(19.0%)、傾眠63例(6.0%)及び頭痛60例(5.7%)であった。(承認時)」

その他の特徴

・中止したときの離脱症状は、他の抗うつ薬に比べて少ないと言われている
(半減期の長さが関係している)

・吐き気などの消化器症状は他の抗うつ薬より少ない

・食事の影響を受けない

・半減期が65時間程度あるので定常状態になり、効果が安定するには、
10日から14日はかかると思われる。

・薬自体での体重増加は少ない

おまけ:一包化・粉砕・簡易懸濁

・一包化OK・可能
→無包装状態で25℃75%で3か月後まで外観に変化なし

・粉砕OK・可能
→粉砕後25℃75%で100日後まで外観に変化なし

・簡易懸濁OK・可能
→フィルムコーティングを破壊後
→温湯55℃20mlで5分後に崩壊
→2時間後に含有変化なし

※8Fr通過可能

参考資料
トリンテリックス®添付文書、インタビューフォーム
武田薬品問い合わせ
トリンテリックス®メーカー勉強会