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セマグルチド錠(リベルサス®)の製剤的工夫とインクレチンホルモン(GLP-1)について

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セマグルチド錠の基本的な情報や特徴は下記の記事にまとめている
セマグルチド錠(リベルサス®)の特徴について

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①インクレチンホルモン(GLP-1)

簡単にGLP-1についておさらいする。

GLP-1は、小腸のL細胞から分泌されるインクレチンホルモンである。
グルコース濃度依存的に膵臓β細胞からのインスリン分泌を促進し、血糖降下作用を示す。また、膵臓α細胞からのグルカゴン分泌を抑制する。
ただし、体内の分解酵素であるDPP-4により速やかに分解されてしまう性質がある。

※他にも、GLP-1の作用としては、消化管における「胃内容物排出運動の抑制作用」、中枢の視床下部への作用による「食欲低下」、「体重減少」がある。
※インクレチンホルモンは、GIPとGLP-1が知られている。

②セマグルチド錠(リベルサス®)の製剤的工夫

①でも触れたように、GLP-1自体は分解されやすいため経口には不向きであった。
そのため、「連日投与型」と「週一回投与型」の皮下注射製剤が先に発売となっていた。
そして、遂に2021年セマグルチド錠(リベルサス®)が発売となった。

ペプチドは非常に分解されやすいので経口という時点で個人的には、
単純にすごい・・・と思った。

GLP-1ペプチド・・・
単純にペプチドだから胃酸に弱い。GLP-1だからDPP-4にすぐに分解される。
頭が痛くなるハードルを越えた薬剤だ。

その経口投与が可能になった製剤的工夫を簡単にまとめる

GLP-1のアミノ酸修飾

セマグルチドはヒトGLP-1と94%のアミノ酸配列の相同性を有するヒトGLP-1アナログとして開発された。
つまり、6%との違いがある。
下記に示す工夫によりDPP-4阻害剤からの分解を抑制し、血中半減期は約1週間となっている。

【3つのアミノ酸修飾】

・ペプチド骨格内8位のアミノ酸を修飾(アラニンを2-アミノイソ酪酸で置換)
→DPP-4に対する安定性を向上させるため

・26位リジンに高分子親水性リンカーとγグルタミン酸を介してカルボキシル末端を有するオクタデカン二酸(C-18脂肪二酸鎖)を結合
→アシル化している
→アルブミンへの結合が増強されることで、分解の遅延、腎クリアランスの低下を実現している

・ ペプチド骨格内のリジンを1つに限定するため、
34位リジンをアルギニンで置換
→オクタデカン二酸(C-18脂肪二酸鎖)の結合を阻止している

サルカプロザートナトリウム(SNAC)の利用

セマグルチドはペプチドのため分子量が大きく、胃粘膜の透過性が低い。
さらに、胃酸に分解されやすいため吸収促進剤であるSNACが使われている。

【SNACの効果は?】
錠剤の周りのpHを中性にして、胃酸のペプチド活性を抑えることで
吸収率を向上させている

※バイオアベイラビリティは1%
→そのため、1日1回の服用が必要である
※1錠にSNACが300mg配合されている
※胃が空っぽ(空腹)である必要があるため、起床時など最初の食事の前に服用する必要がある
→水も多めに飲んではダメ!120ml以下の水で飲むこと
(コップ半分と指導)
→240mlを越えると吸収が悪くなることが分かっている。
※お茶、コーヒー、服薬ゼリー不可

製剤上の問題点

・吸湿性が高く、光に弱いためPTPシートのまま調剤する必要がある。
・PTPシートを縦に切ることが出来ない
(切って保存する癖がある患者や施設など注意)

参考資料
セマグルチド錠(リベルサス®)、添付文書、インタビューフォーム
メーカー説明会