シロスタゾール (プレタール®)の特徴について簡単にまとめる。適応外使用も紹介する。間欠性跛行(かんけつせいはこう)症状の改善に使われる(第一選択薬)。薬剤によって得意な病態があるので整理しておくと良い。特徴・注意・適用外使用の項を見て頂けると嬉しい。
シロスタゾール (プレタール®)の特徴
効能・効果
「慢性動脈閉塞症に基づく潰瘍、疼痛及び冷感等の虚血性諸症状の改善、
脳梗塞(心原性脳塞栓症を除く)発症後の再発抑制」
※参考までに、非心原性の脳梗塞発症後の再発抑制効果としては、アスピリンと同等の効果がある。
非心原性→ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞
※間欠性跛行(かんけつせいはこう)症状の改善に使われる(第一選択薬)
【間欠性跛行】
ちょっと歩くことで、足がしびれたり、痛くなったりすることで・・・
歩けなくなるが、休憩をはさむと再度歩けるようになること
血流の悪さや神経の圧迫が原因となる
用法・用量
「通常、成人には、シロスタゾールとして1回100mgを1日2回経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。」
※脳梗塞の発症抑制に使うとして・・・アスピリンやクロピドグレルと違い
1日2回飲まないといけないのはデメリット・・・
禁忌
・出血している患者(血友病、毛細血管脆弱症、頭蓋
内出血、消化管出血、尿路出血、喀血、硝子体出血等)
・うっ血性心不全の患者
・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性
※うっ血性心不全に使えないので注意
作用機序
血小板のホスホジエステラーゼ3(PDE3)の活性を選択的に阻害
↓
血小板内のcAMP濃度を上昇させる
↓
血小板凝集を抑制
【その他の作用】
血管平滑筋細胞のPDE3活性も阻害するので
血管平滑筋の弛緩が起こる。その結果、血管拡張作用を示す
(末梢血管拡張作用)
特徴・注意点
「心拍数」の増加、「頭痛」に注意
※心拍数を増加させるリスクがあるので虚血性心疾患の人には使いにくい
アスピリンのアレルギーがある場合や
消化管出血などの合併症がある場合は、アスピリンの代わりにシロスタゾールを使う場合がある。
※脳梗塞に使う場合は、症状が落ち着いてから使うこと
【警告:心拍数】
「本剤の投与により脈拍数が増加し、狭心症が発現することがあるので、狭心症の症状(胸痛等)に対する問診を注意深く行うこと。脳梗塞再発抑制効果を検
討する試験において、 長期にわたりPRP(pressurerate product)を有意に上昇させる作用が認められた。また、本剤投与群に狭心症を発現した症例がみられた」
適応外使用
誤嚥性肺炎の予防効果の報告がある。
脳内サブスタンスPの合成を増やす作用により誤嚥性肺炎を予防すると言われている。脳内のサブスタンスPが不足すると誤嚥性肺炎の原因となりうる。
(脳卒中ガイドラインでは、エビデンスレベルⅡb、グレードC1)
※グレードC1:行うことを考慮しても良いが、十分な科学的根拠がない
※半夏厚朴湯もサブスタンスPを増やすので同様の理由で出されることがある
参考資料
脳卒中ガイドライン2009
Shinohara Y. Antiplatelet cilostazol is effective in the prevention of pneumonia in ischemic
stroke patients in the chronic stage. Cerebrovasc Dis 2006;22:57-60
プレタール®添付文書、インタビューフォーム