エクロックゲル (ソフピロニウム)の特徴について簡単に整理する。
日本で初めての原発性腋窩多汗症に対して保険適応のある外用剤です(2021年現在)
エクロックゲル (ソフピロニウム)の特徴
名前の由来:エクリン汗腺をブロックする外用剤
効能・効果
「原発性腋窩多汗症」
※確定診断が出た場合に使うことが出来る
(保医発1117第3号令和2年11月17日)
※原発性多汗症の有病率としては、男性の方が女性よりも多く
男性6.60%、女性4.72%、男女合わせると5.75%程度となっている。
多い部位は、腋窩、手掌である。
エクロックは、「腋窩」に使用するゲルなので注意
用法・用量
「1日1回、適量を腋窩に塗布する。」
※1日1回なので注意
禁忌
・閉塞隅角緑内障の患者
・前立腺肥大による排尿障害がある患者
・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
※外用剤だが、前立腺肥大に禁忌が設定されている。男性の方が多い疾患ということで気を付ける必要がある
作用機序・薬理作用
エクロックゲル (ソフピロニウム)は、エクリン汗腺に発現するムスカリン受容体M3を阻害する
↓
発汗のシグナル伝達を阻害する
↓
発汗を抑える
※多汗症の原因となる汗はエクリン汗腺から分泌される。エクリン汗腺は交感神経により調節されていてアセチルコリンがエクリン汗腺のムスカリン受容体サブタイプ3(M3)を刺激することにより発汗を誘発すると考えられている。ここを抑えるのだ。
副作用
使った部位の「痒み」や「口渇」には注意が必要である。また長期的に使った場合は、「散瞳」や「霧視」にも気を付けた方がいいかもしれない。下記に国内第Ⅲ相試験のデータを載せる。
「国内第Ⅲ相二重盲検比較試験において、副作用発現頻度は本剤群で 141 例中 23 例(16.3%)であった。主な副作用は、適用部位皮膚炎 9 例(6.4%)、適用部位紅斑 8 例(5.7%)及び適用部位そう痒感 3 例(2.1%)であった。」
「国内第Ⅲ相長期投与試験において、副作用発現頻度は本剤が投与された 2 群合計 185 例中 78例(42.2%)であった。主な副作用は、適用部位皮膚炎 51 例(27.6%)、適用部位湿疹 13 例(7.0%)、適用部位紅斑 11 例(5.9%)、適用部位そう痒感 6 例(3.2%)、散瞳 3 例(1.6%)及び霧視 1 例(0.5%)であった」
※塗布する部分に皮膚炎や傷があると体内への吸収が増えて、口渇などの副作用が起こるおそれがある
使用上の注意
・薬液に直接手で触れて塗布してはいけない
・使用量は右わきに1押し分、左わきに1押し分使用する(1本20gで14日分相当)
・わきが渇くまでは、衣服や寝具が触れないようにする
その他の特徴
・アプリケーターという部分があるので薬液に触れることなく塗布可能
・確定診断が出た場合のみ使用可能
(保医発1117第3号令和2年11月17日)
・使用開始に場合、多汗症疾患重症度評価尺度(HDSS)を診療報酬明細書の摘要欄に記載する必要がある
(保医発1117第3号令和2年11月17日)
・1本20gが14日分に相当する
参考資料
エクロックゲル、添付文書、インタビューフォーム
保医発1117第3号令和2年11月17日