妊娠中の喘息治療 について簡単にまとめる。
怖くなって治療を勝手に止めてしまう人もいるがやめて欲しい。
喘息が悪化した方が大変なのでコントロールすることが大切である。
妊娠中の喘息治療
妊娠中は、母体と胎児両方の健康を考える必要がある。
妊娠中の喘息
妊娠中では、胎児による肺の圧迫が起こる。その結果、呼吸の状態が悪くなる。
3分の1ぐらいは悪化するとも言われている。
母親の気管支喘息が悪化すると胎児の酸素状態も悪くなる。
胎児を守るために喘息の治療継続は必要である。
低酸素血症が起こると、流産や胎児発育不全、脳障害のリスクが上がる。
※妊娠中の24週から36週が最も悪化しやすい
妊娠中の喘息治療
基本的には、治療は継続する。いつもの吸入などでコントロールが出来ないときは治療薬を考え直す必要がある。
第一選択薬は吸入ステロイド(ICS)である。
使用される薬剤を下記に簡単に載せる。
【吸入薬】
・吸入ステロイド薬(ICS)
→ブデソニド(パルミコート®)が一番安全性が高いと言われている。
・β2刺激薬(SABA、LABA)
→喘息発作は胎児に影響が出るので短時間型β2刺激薬は必要な場合使うべきである。
※ただし、SABAのみよりは、ICSを続けながらSABAを使うのが一般的である。
・抗コリン薬(SAMA、LAMA)
・合剤(ICS+LABA、LAMA+LABA)
→ブデソニドを含むシムビコート®は安全性が高いと思われる
※抗コリン薬は、β2刺激薬が使えないときに考える
→合剤も同じような優先順位
※ちなみに授乳中も継続する。喘息の治療薬が母乳に移行する量はわずかである
【経口薬】
・経口ステロイド
→プレドニゾロン(プレドニン®)、メチルプレドニゾロン(メドロール®)は胎盤通過性が低い
・抗ロイコトリエン薬
・テオフィリン製剤
→血中濃度のモニタリングが必要
服薬指導での対応
妊娠希望があるような方に対しては、妊娠が分かっても自己中止しないように伝えておくべきだろう。
喘息が胎児へどう影響するのか。吸入治療薬などを使うことでメリットがどうあるか説明しておくとよいと思う。
ステロイドと聞くと怖がる人もいるが、吸入ステロイドは安全で催奇形性もないことなども説明するとよい。
※上記でも触れたが、妊娠の24週から36週で喘息は悪化しやすいので自己中止しても・・・しばらく喘息が悪くなることはないかもしれないが、胎児が低酸素状態になったら恐ろしい話である。しっかり吸入治療は続けて欲しい。
参考資料
一般社団法人日本アレルギー学会、喘息予防・管理ガイドライン2015
調剤と情報2014;9:82-7.