" />

痛み・鎮痛剤

高齢者のNSAIDs について考える

スポンサーリンク

高齢者のNSAIDs について考える。
使う必要のあるケースが多いが留意点があるのでいくつか整理する。

①高齢者のNSAIDs の留意点

高齢者は生理機能が低下していることもあり注意が必要な薬は多い。
その中で今回はNSAIDsの留意点について触れる。

NSAIDsを使用する際の留意点をいくつかあげたいと思う。
「胃腸障害」、「腎障害」、「心血管イベント」 などに注意する必要がある。

胃腸障害

NSAIDsで最も有名な副作用だろう。
非選択性のCOX阻害に比べCOX-2阻害薬の方が胃腸障害は少ない。
ただし長期服用の場合は注意が必要である。

胃だけでなく小腸潰瘍にも注意が必要なので下記の別記事も参照してほしい
NSAIDsが小腸潰瘍を起きおこす理由~OTC(ロキソニンS)もご注意を~ 

腎障害

腎障害も非常に注意が必要な副作用である。
ちなみにCOX-2阻害薬は、胃腸障害の面では非選択性よりメリットはあるが、腎障害に関しては、軽減されるという期待は出来ない。選択性に関係なく腎障害は起こってしまう

関連記事
NSAIDsによる虚血性腎障害 ~COXについても少し~  

NSAIDsとステロイドの浮腫 について~腎臓に作用する場合を考える~

心血管イベント

2015年7月9日FDA Drug Safety communicationより
「すべてのNSAIDs(選択的COX-2阻害薬含む)において使用後数日から数週間の早期からも心血管イベントは発症し、使用する期間、選択する薬剤や用量に応じて発生率を増加させることが危惧される。」

参考:NSAIDsの例

【非選択性NSAIDs】
・ジクロフェナク(ボルタレン)
・ナプロキセン(ナイキサン)
・ロキソプロフェン(ロキソニン)

【選択性COX-2阻害薬】
・セレコキシブ(セレコックス)
・エトドラク(ハイペン)
・メロキシカム(モービック)
・ナブメトン(レリフェン)

②対策:米国老年医学会による高齢者の疼痛治療ガイドライン

米国老年医学会による高齢者の疼痛治療ガイドラインには、下記のような事が示されている。

・高齢者では、COX-2選択的阻害薬を含むNSAIDsは、慎重に患者選択を行い限定的に使用する
・アセトアミノフェンが第一選択薬として推奨される
・NSAIDsによる心血管イベント、腎機能障害などが危惧される
・中等度から高度の痛みと、それに伴う機能障害にはオピオイド使用を考慮すべきである。

※基本はアセトアミノフェンで、意外と早い段階でオピオイドを使用する印象

参考:オピオイドの例

【医療用麻薬でないオピオイド】
・トラマドール(トラマール)
・トラマドール/アセトアミノフェン配合剤(トラムセット)
・コデイン(1%製剤)
・ブプレノルフィン
・ブトルファノール
・ペンタゾシン
など

【医療用麻薬のオピオイド】
・コデイン(10%以上の製剤)
・モルヒネ
・オキシコドン
・フェンタニル

参考資料
日本老年学会 高齢者の安全な薬物治療ガイドライン2015
2015.7.9 FDA Drug Safety communication : FDA strengthen warning that non-aspirin non steroidal anti-inflammatory Drugs (NSAIDs) can cause heart attacks or strokes