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その他

カルシウム拮抗薬による便秘 や逆流性食道炎について

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カルシウム拮抗薬による便秘 や逆流性食道炎について簡単に整理する。
中でも、処方頻度が高いアムロジピンやニフェジピンは注意しよう。
あまり発症頻度が高いわけではないが、ポリファーマシーの観点から知っておくと良い

カルシウム拮抗薬による便秘 や逆流性食道炎

カルシウム拮抗薬は、血管以外の平滑筋にも作用するため「便秘」や「逆流性食道炎」の原因となることがある

カルシウム拮抗薬の作用機序・薬理作用

【カルシウム拮抗薬の降圧作用】

血管平滑筋細胞に存在する膜電位依存性Caチャネルに結合する

カルシウムチャネルでのカルシウムイオンの流入を阻害する

血管の収縮が阻害される

血管の収縮が阻害されると、血管が弛緩する

血管が拡張する

血圧が低下する

【補足】
・カルシウム拮抗薬は血管の平滑筋に作用する
・血管の収縮にはカルシウムイオンが大事な役割を担っている。
・カルシウムイオンが血管の細胞内に入ると血管が収縮する。
・カルシウムイオンが細胞内に入る時にカルシウムチャネルという部分を通過する。
・降圧剤としては、Ca拮抗薬は主にジヒドロピリジン系が使われる。
・ジヒドロピリジン系は末梢血管に作用して血管を拡張し、心臓に対してはほとんど作用しないという特徴(血管選択性)がある。

なぜ逆流性食道炎や便秘が生じるのか?

カルシウム拮抗薬を服用することで副作用として「胃食道逆流症(GERD)」、「逆流性食道炎(びらん性胃食道逆流症)」や「便秘」が起こることがある。
ポイントは「消化管の平滑筋への作用」である。
カルシウム拮抗薬は、何も血管の平滑筋にだけ作用するわけではない。
そのことを頭の隅においておくとポリファーマシー対策で役立つかもしれない・・・

【胃食道逆流症(GERD)、逆流性食道炎(びらん性胃食道逆流症)の場合】

少し食道が胃酸で荒れてしまうメカニズム説明すると、
人は、食事をすると、胃と食道の間にある「下部食道括約筋(lower esophageal sphincter:LES)」が緩んで、食べた物が食道から胃へ流れていく。この時、食道の方へ胃酸が逆流しやすい人が逆流性食道炎等になる。
ちなみに、胃には胃酸から粘膜を守る防御機能があるが、食道にはない。
そのため、胃酸が食道に流れると炎症が起こってしまうのだ。食道に炎症が起こると・・・さらに、胃酸が逆流しやすい状況となる。

カルシウム拮抗薬を服用していると・・・

カルシウム拮抗薬は、血管平滑筋弛緩作用に加え、下部食道括約筋の収縮を抑制する作用も持つ。
そのため、下部食道括約筋が緩んでしまい、胃酸が逆流しやすい状況となる。
結果として、食道が荒れる原因が、「カルシウム拮抗薬」のこともあるのだ。

【便秘】

カルシウ拮抗薬は、消化管である腸管の平滑筋でのカルシウムイオンの流入を抑制することで
腸管が弛緩し、蠕動運動が抑制される。
結果として、腸の動きが悪くなるので「便秘」となる。

【補足】
・ジヒドロピリジン系カルシウムチャネル拮抗薬において多いことが知られている。特にL型で注意。

【報告されている情報】
「アムロジピンやニフェジピンのような L 型カルシウム拮抗薬 は、低用量から 逆流性食道炎の発症率が有意に高く、投与期間に依存する。
これに対し、交感神経終末膜の N 型カルシウムチャネルの遮断作用を有するシルニジピン,ベニジピンや反射性交感神経増強作用が弱いアゼルニジピンは、用量別、投与期間別における RE 発症率の有意な上昇を示さなかった.」

参考資料
茂木 肇 : ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬の服用と逆流性食道炎の発症リスクの関連性に関する調査研究2019

Hamada A, Ishii J, Doi K, Hamada N, Miyazaki C, Hamada T,Ohwaki Y, Wada M, Nakashima K: Increased risk of exacerbating gastrointestinal disease among elderly patients following treatment with calcium channel blockers. J Clin Pharm Ther 2008; 33: 619–624

Hamada A, Akiyoshi R, Ishii J, Hamada N, Miyazaki C, Hamada T,Ohwaki Y, Ikeda R, Wada M, Nakashima K: Influence of calcium channel blockers in patients with gastrointestinal disease in Japanese community pharmacies. J Clin Pharm Ther 2012; 37: 74–77.