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貧血

エナロイ 錠(エナロデュスタット)の特徴について

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エナロイ 錠(エナロデュスタット)の特徴について簡単に整理する。
4つ目のHIF-PH阻害薬である。国内で開発され、国内製造となっている。

エナロイ 錠(エナロデュスタット)の特徴について

・錠剤が飲みやすい大きさ
・スタート時のHbによらず、開始用量が固定となっている

効能・効果

「腎性貧血」

【効能又は効果に関連する注意】
「赤血球造血刺激因子製剤で未治療の場合の本剤投与開始の目安は,保存期慢性腎臓病患者及び腹膜透析患者ではヘモグロビン濃度で11g/dL未満,血液透析患者ではヘモグロビン濃度で10g/dL未満とする。」

※開始する時のHbの目安は決まっている

作用機序・薬理作用

HIF- PH阻害薬のポイントは、「人間の低酸素下での体の状態を作るイメージ」である。
人間は、低酸素状態だと何とか赤血球の数を増やして体の中の酸素を保とうとするシステムが存在する。

エナロデュスタットは、低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬である。
※HIF-PH(ヒフピーエイチと読む)

エナロデュスタットは、プロリン水酸化酵素を阻害する

低酸素誘導因子HIFαを安定化させる
※水酸化されていないHIF-αが蓄積する

HIF応答性であるエリスロポエチン(EPO)遺伝子の転写促進する

赤血球産生を誘導する

※低酸素誘導因子HIFは、心不全、脳卒中、肺疾患、気圧変化及び網膜損傷などでの低酸素症に対する応答を制御するマスター転写因子
正常酸素状態では、HIF-αは分解される。

※プロリン水酸化酵素(PHD)は転写因子である低酸素誘導因子(HIF)αを水酸化し、ユビキチンプロテアソーム系による HIFαの分解を促進させる酵素

用法・用量

開始用量が固定されている。保存期慢性腎臓病患者及び腹膜透析患者では、2mg開始であり、血液透析患者は、4mgスタートとなっている。
ポイントとなるのは、開始前のHbの濃度によらないこと。また、前治療として赤血球造血刺激因子製剤(ESA)の有無も関係ないことである。

※ちなみに、この開始用量の固定は、バフセオとエナロイである。

【食前の理由】
食後だとCmaxが47%、AUCが26%ほど低下する。
1日1回のため、「就寝前」の方がアドヒアランスは良さそうである。

【添付文書記載、下記】

〈保存期慢性腎臓病患者及び腹膜透析患者〉
「通常,成人には,エナロデュスタットとして1回2mgを開始用量とし,1日1回食前又は就寝前に経口投与する。以後は,患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが,最高用量は1回8mgとする。」
〈血液透析患者〉
「通常,成人には,エナロデュスタットとして1回4mgを開始用量とし,1日1回食前又は就寝前に経口投与する。以後は,患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが,最高用量は1回8mgとする。」

※増量する際は、4週間以上空けること
※ヘモグロビン濃度が、4週以内に2.0g/dLを超える等、急激に上昇した場合は速やかに減量又は休薬する等、適切な処置が必要

副作用

注意する副作用としては、「血栓塞栓症」や「高血圧」である。

添付文書によると
「血栓塞栓症(0.7%)、高血圧(1%以上)」

併用注意

リン吸着薬や多価陽イオンの薬剤とエナロイ錠は、服用時間をあける必要がある。
併用する場合、
リン吸着薬や多価陽イオンを飲んだ後、3時間以上経ってからエナロイ錠を飲むか・・・
リン吸着薬や多価陽イオンを飲む前1時間以上間隔をあけてエナロイ錠を飲む必要がある。

非常に面倒くさい。何より、ネックになるのが「酸化マグネシウム」や「鉄剤」は併用するケースが多いと思われる。
「就寝前」に用法を変更するなど工夫が必要である。

・リン吸着薬(セベラマー塩酸塩、ビキサロマー、炭酸ランタン)
・多価陽イオン(カルシウム、鉄、マグネシウム、アルミニウム等)を含有する経口製剤

その他の特徴

・一包化可能、OK
・粉砕可能、OK
・簡易懸濁法可能、OK
・2mg錠に割線があるので、1mgで使う場合「自家製剤加算」が算定可能
・錠剤が比較的小さい

参考資料
エナロイ錠、添付文書、インタビューフォーム