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その他

エブリスディ (リスジプラム)の特徴について

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エブリスディ (リスジプラム)の特徴について簡単にまとめる。
脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬の1つである。
SMAは、主にSMN1という遺伝子の変化の変化が原因で筋肉が弱っていく病気だ。SMA患者は、SMN1遺伝子の一部を持っていない。もしくは、持っていても変化している特徴がある。SMA患者は、SMNタンパク質が少ないので脊髄にある運動神経細胞が変化して筋肉の萎縮が起こってしまうのだ。筋力が低下するため、手や足が動かしにくい、立てない、上手く歩けないなどの症状が出てくる

エブリスディ (リスジプラム)の特徴

院外処方せんで取り扱う機会は少ないかもしれない。調整方法、持ち運び時間、飲み忘れた時の対応などしっかり患者に伝えることが大切である。

効能・効果

「脊髄性筋萎縮症」

※必要となれば一生飲むような薬となる

用法・用量

「通常、生後2カ月以上2歳未満の患者にはリスジプラムとして、0.2mg/kgを1日1回食後に経口投与する。通常、2歳以上の患者にはリスジプラムとして、体重20kg未満では0.25mg/kgを、体重20kg以上では5mgを1日1回食後に経口投与する。」

※出来るだけ同じ時間に服用すること
※イチゴ風味の薬
※経口投与が難しい場合は、経鼻または胃瘻チューブから投与可能(アダプタあり)

SMAとSMN遺伝子の話

【SMA】
SMAは、骨格筋の機能的運動神経支配の獲得および維持が出来ない。そのため、四肢、体幹および呼吸筋の高度な脱力を引き起こす遺伝性の神経筋疾患である。日本において指定難病に定められている。
SMAの人は、SMN1遺伝子の両方の対立遺伝子の機能喪失変異による常染色体劣性遺伝疾患である。
SMNタンパク質の欠乏により引き起こされる。

【SMN遺伝子】
ヒトのSMN遺伝子には、SMN1遺伝子とSMN2遺伝子がある。SMN1遺伝子からは完全長のSMNタンパク質が産生される。
しかし、SMN2遺伝子から産生されるSMNタンパク質は約90%が不完全長の分解されやすいSMNタンパク質である。完全長のSMNタンパク質が10%しか作られない。
SMN1遺伝子が欠失・変異しているSMA患者のSMNタンパク質産生は、SMN2遺伝子に依存した状態である。そのためSMNタンパク質の産生量が少ない。

※SMN1遺伝子は運動に必要なタンパク質を作る遺伝子
※SMN2遺伝子は、SMN1遺伝子のバックアップ遺伝子だが、タンパク質の産生量が少ない特徴がある。

薬理作用・作用機序

リスジプラムは、経口投与後、各組織に分布する。SMN2 pre-mRNAの選択的スプライシングを修飾して、「エクソン7を欠いたmRNA」から「エクソン7を含んだ完全長mRNA」へと産生をシフトさせる。
結果として、機能性SMNタンパク質の産生量を増加させることが出来る。
簡単に言うと「筋肉を動かすために必要なSMNタンパク質の量を増やす薬」である。SMNタンパク質が増えることで筋肉の動きを助け運動機能を改善する。

副作用

皮膚の症状(赤くなる、発赤)、上気道感染(風邪)、口腔内潰瘍(口内炎)、下痢、ニキビ

妊娠および授乳に関する注意

【女性の場合】
・動物の試験で胎児や母乳への影響が確認されている
・服用中および最終の服用から一定期間(少なくとも1か月)は、適切な避妊が必要

【男性の場合】
・動物の試験で精子の変化や数の減少といった影響が確認されている
・服用中および最終の服用から一定期間(少なくとも4か月)は、適切な避妊が必要

飲み忘れた場合の対応

飲み忘れて6時間まではその日に飲むことができる。
それを越えたら飛ばす。次の日に通常通り服用すること

その他の注意点など

・吐き出した場合、追加の投与はしないこと
・冷所保存(30℃以下で5日間は大丈夫だったというデータあり)、瓶を立てて保管する
・遮光保存のため、別の容器に移し替えないこと
・服用後に水を必ず飲むこと
・経管投与の場合は、コネクタをメーカーからもらうことが出来る
・必ず調整してから薬局で渡す薬剤
・調整後は64日までOK、この観点から処方箋は5本まで処方可能
・専用の持ち運びバッグでの持ち運び保冷時間の目安は6時間
・精製水に溶かして調整するが、院外処方箋の場合は精製水の記載があるか確認すること。