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血栓症後症候群 (PTS)について~QOLの低下を防ぐために~

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血栓症後症候群 (PTS)について簡単に整理する。
PTS : post-thrombotic syndrome

血栓症後症候群 (PTS)について

意外と頻度は多いので注意する必要がある。

血栓後症候群 とは?

静脈血栓塞栓症(VTE)には、深部静脈血栓症(DVT)と肺動脈塞栓症(PE)の2つを指す。DVTが原因でPEとなる。
DVTの「深部静脈」とは、「腸骨静脈」、「大腿静脈」、「鎖骨下静脈」などである。血栓症後症候群(PTS)は、深部静脈血栓症(DVT)の発生後に生じる慢性の静脈不全症である。DVTの慢性期の合併症である。DVT後の2週間以内の再発が多い。(発症後初期は再発率が高い)症候性DVT患者の20%-50%に起こる。

※イグザレルトでは、DVT後のPTSを避けるため、下記のような用法が設定されている

〈静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制〉
「成人通常、成人には深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症発症後の初期3週間はリバーロキサバンとして15mgを1日2
回食後に経口投与し、その後は15mgを1日1回食後に経口投与する」

※初期に1日2回服用するようになっている。また、初期3週間というのもポイントである。
※残存血栓をしっかりなくすことが大切。

【補足:静脈血栓塞栓症(VTE)の原因】
VTEの原因はVirchowの3徴と言われている。
・血のめぐりが悪くなる(血流の停滞)
・血管壁のキズや炎症(血管内皮障害)
・血液が固まりやすくなる(血液凝固能の亢進)

症状

下肢の不快感(重さ、疼き、痛み)、むくみ、静脈うっ滞性皮膚炎、潰瘍、疲労感など
症候群なので個々人でも差が大きい。
服薬指導の際も色々な角度や言葉で聞き取りをすると良いと思う。
脚の不快感やむくみなどは個人的に聞きやすい

※PTSは、QOLの低下が大きく、仕事や家事に影響が出る人がほとんど。

予防や治療

・DVT再発予防による経口剤

・弾性ストッキングによる浮腫のコントロール
→DVT発症2週間以内から2年間着用で発症を50%減少させるという報告がある。

・足を上げる
→右房より上に足を上げると良い。静脈の高血圧と浮腫を軽減する効果がある
かなり続けるのは難しいが、1日3回、30分以上行うと効果があるとのこと

・保存的治療が奏功しなかった症例に対する血管形成術や静脈バイパスといった手術療法

参考資料
肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2009年改訂版)
イグザレルト、添付文書、インタビューフォーム
Lancet 1997; 349: 759–762
J Surg Res 1977; 22: 483–488.