ラクツロースシロップ (モニラック)の特徴について簡単に整理する。
「%」によって適応症が違ったりして調剤する際は紛らわしい薬剤である。
そのあたりにも触れたいと思う。
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ラクツロースシロップ (モニラック)の特徴について
ラクツロースは人工的に合成された2糖類である。肝性脳症にはよく使われる。
薬理作用・作用機序
ポイントとして2つの作用がある。
【便通を良くする作用】
消化吸収されずに大腸(下部消化管)に到達する
↓
乳酸菌により分解される
↓
乳酸や酢酸が産生される
↓
腸を刺激すること腸管運動を亢進させて排便を促す
また、浸透圧作用によっても緩下作用を示す
【血中のアンモニア低下作用】
腸管においてラクツロースが分解される
↓
産生された有機酸(乳酸、酢酸など)により腸管内pHが低下する
※腸管においては、PHが高い方がアンモニアの吸収率が高い
↓
腸管でのアンモニア産生やアンモニアの腸管吸収が抑制される
↓
結果として血中のアンモニアが低下する
※高アンモニア血症の生じている肝障害の人は、食事のタンパク質を制限することがあるが、
あまり制限するとアルブミンが低くなったりする。それを防ぐためにラクツロースを服用することで
タンパク質を摂取できるようになる。
※腎不全時、透析時 通常投与可能である。
ラクツロースシロップ のカロリー
ラクツロースシロップ65%の場合:1mLあたり約2.2kcalのエネルギーがある。
そのため、1日量30~60mLのエネルギー量は66~132kcalに相当する。
副作用
吸収されないため副作用はほとんどないが、頻度が多いのは下痢である。
※α-グルコシダーゼ阻害剤を併用する場合、腸内ガスや下痢の頻度が増す可能性があるため注意すること
規格などによる適応症の違い
60%には、便秘系の適応症がなく、ラグノスゼリーは、「慢性便秘症」の適応がある。
【モニラック原末/65%】
・高アンモニア血症に伴う下記症候の改善
精神神経障害、手指振戦、脳波異常
・産婦人科術後の排ガス・排便の促進
・小児における便秘の改善
※慢性便秘症の適応がないので注意
他にも、慢性便秘症の適応がないものはある
例:ピアーレシロップ65%、ラクツロースシロップ65%「武田テバ」、 ラクツロースシロップ65% 「タカタ」
【ラクツロースシロップ60%コーワ】
・高アンモニア血症に伴う下記症候の改善
精神神経障害、脳波異常、手指振戦
※便秘系の適応がないので注意
【ラクツロース経口ゼリー分包16.05g「サトウ」】
・高アンモニア血症に伴う下記症候の改善
精神神経障害、手指振戦、脳波異常産
・産婦人科術後の排ガス・排便の促進
※「小児における便秘」や「慢性便秘」の適応がない。産婦人科術後の排便には使える
※ゼリー剤とすることでラクツロース特有の甘味を軽減し、飲みやすくしている。
※嚥下困難な高齢者でも服用しやすい剤形である
【ラグノスNF経口ゼリー分包12g】
・慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)
・高アンモニア血症に伴う下記症候の改善
精神神経障害、手指振戦、脳波異常
・産婦人科術後の排ガス・排便の促進
※慢性便秘の適応がある
参考資料
モニラック、添付文書、インタビューフォーム
ラクツロース各製剤の添付文書
ラグノスNF経口ゼリー、添付文書