2020年6月に発売となった緑内障の点眼薬である。
これまでの緑内障の点眼薬の配合剤は、β遮断薬を含むものだった。しかし、アイラミド配合懸濁性点眼液はβ遮断薬を含まない。その辺に触れながら簡単に整理する。
アイラミド 配合懸濁性点眼液の特徴
・α2作動薬のブリモニジン(アイファガン)と炭酸脱水酵素阻害剤のブリンゾラミド(エイゾプト)の2種類が配合された点眼薬である。
・β遮断薬(チモロール)を含まないため、喘息や心不全の人にも使いやすい
効能・効果
「次の疾患で、他の緑内障治療薬が効果不十分な場合:緑内障、高眼圧症」
※緑内障の治療は、まず単剤が基本なのでこのような書き方がされている。
用法・用量
「1回1滴、1日2回点眼する。」
※1日2回の点眼であるが、2種類配合されているのでアドヒアランスは向上する可能性はある。
薬理作用・作用機序
【ブリモニジン(アイファガン)】
アドレナリンα2受容体に作用
↓
房水産生の抑制およびぶどう膜強膜流出路を介した房水流出を促進
↓
眼圧低下
【ブリンゾラミド】
毛様体突起部のⅡ型炭酸脱水酵素を阻害
↓
HCO3-の生成を抑制
↓
Na+と水の後房への輸送を抑制
↓
房水産生を抑制
↓
眼圧低下
副作用
「霧視」「眼の刺激」「味覚異常」などに注意すること
※関連する添付文書の注意点
「眠気、めまい、霧視等を起こすことがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事する場合は注意させること。」
※意外と霧視の頻度は多いので注意すること。インタビューフォームの引用は下記
「主な副作用は、霧視(5%以上)、眼刺激、点状角膜炎、味覚異常(いずれも1~5%未満)(承認時)」
その他の特徴
・β遮断薬を含まない日本で初めての配合剤
→血圧の低下や心拍数の低下を気にしなくて良い
※他の配合剤は、チモロールが配合されているものが多い
※β遮断薬を含まないため、気管支喘息やコントロール不十分な心不全患者に対する禁忌項目が設定されていない
・低出生体重児、新生児、乳児又は 2 歳未満の幼児に禁忌
・重篤な腎障害のある患者に禁忌
・懸濁性の点眼液なので、よく振ってから使う事
・ソフトコンタクトレンズを使っている人は、点眼後15分以上経ってからソフトコンタクトを装着すること
・他の点眼と併用する場合は、点眼の間隔時間を5分にするため最後に点眼した方が良い。
→懸濁性点眼液を点眼後、10分以上経たないと次を点眼出来ないため。
参考資料
アイラミド懸濁性配合点眼液、添付文書、インタビューフォーム