ペンタサ坐剤 の特徴について簡単に整理する。ペンタサ錠もあるが、ペンタサ坐剤を使うようなケースに触れたいと思う。
ペンタサ錠の違いなども知っておくとよい。成分は、メサラジンである。
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ペンタサ顆粒 とメサラジン顆粒の違い
ペンタサ坐剤 の特徴について
・局所療法で使用される。腸の粘膜に直接作用する
・直腸部の炎症を抑えることが出来る
効能・効果
「潰瘍性大腸炎(重症を除く)」
※ペンタサ錠は「潰瘍性大腸炎」「クローン病」に使用できるが、ペンタサ坐剤は、「潰瘍性大腸炎」のみである。
理由は、添付文書にも記載がある
【効能又は効果に関する注意】
「直腸部の炎症性病変に対して使用すること。なお、本剤が腸内で到達する範囲は直腸部に限局されるため、S状結腸より口側の炎症には効果が期待できない」
用法・用量
「通常、成人には1日1個(メサラジンとして1g)を、直腸内に挿入する。」
※メサラジン(ペンタサ)の内服薬と併用する場合は、メサラジンの量が多くなるので肝機能、腎機能などに注意すること
薬理作用・作用機序
細かい作用は色々報告されている。
マクロファージや好中球等の炎症性細胞から放出される「過酸化水素」や「次亜塩素酸イオン」などの活性酸素を消去
↓
炎症の進展と組織の障害を抑制
【その他の作用】
・ロイコトリエンの生合成抑制作用(炎症性細胞の組織への浸潤を抑制)
※ロイコトリエンは、炎症反応に深く関わっている物質
・肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制作用
・血小板活性化因子(PAF)の生合成抑制作用
・インターロイキン-1β (IL-1β )の抑制作用
などが報告されている。
【どう作用するかは重要】
一旦、体に吸収されてから効果を発揮するのではなく腸の粘膜に直接作用する。
経口薬であろうが、坐剤であろうが局所的な作用を示す。経口薬だと腸に到達するまでに時間がかかったりして、直腸に到達する量が減ってしまう。炎症が生じている腸にいかに到達させるかが大切である。
そのため、炎症部位によっては、ペンタサ坐剤は有効となる。
※口から直腸までは、8mほどある
ペンタサ坐剤を用いるケース
・潰瘍性大腸炎に対する局所療法として使われる。
・ペンタサ坐剤は病型によらず直腸部の炎症病変に対し有用である。
・直腸炎型のみならず左側大腸炎型及び全大腸炎型の 潰瘍性大腸炎 に対して経口メサラジン製剤との併用するケースがある
・直腸炎型潰瘍性大腸炎や直腸出血の著しい左側型・全大腸型潰瘍性大腸炎に使うと良い
→直腸炎型では、軽症、中等症、重症例で使われ、 左側型・全大腸型潰瘍性大腸炎では、軽症、中等症で使われることが多い
その他の特徴
・服用開始2週間くらいでアレルギー様作用が生じることがある
→症状としては、発熱や水溶性下痢に注意する必要がある
・水溶性基剤が使われているので室温保存
参考資料
ペンタサ坐剤、添付文書、インタビューフォーム
潰瘍性大腸炎治療指針 H28年