ざっくりとしたイメージをまとめる
①症状
ざっくりとした理解
急に「唇」、「まぶた」、「顔」、「首」が腫れる
「喉のつまり」、「息苦しい」、「話しづらい」など
→この中では「息苦しい」は特に危険サイン
早期の症状
発作的な皮膚の「限局的」な腫脹
→「口唇」、「眼瞼」、「顔」、「首」、「舌」に多い。
「首」に腫れが出たら
咽頭や喉頭の「閉塞感」、「息苦しさ」、「嗄声」、「構音障害」など注意
「消化管」の部分に腫れが出たら
「嘔気」、「嘔吐」、「腹痛」、「下痢」など注意
補足:
嗄声(させい):のどの奥の声帯異常による「かすれた声」のこと
構音障害(こうおんしょうがい):
言葉の発音に障害がある状態、うまく発声できない状態
②薬剤性血管浮腫と蕁麻疹の違い
蕁麻疹
蕁麻疹→かゆみが強く「数時間」以内に消えることが多い。
薬剤性血管浮腫
薬剤性血管浮腫→「数日」症状が引くのに時間がかかる。
かゆみは少なく、痛みを伴うことがある。
好発部位が「顔」と「唇」
※細かい話では、蕁麻疹より「深部」で浮腫が起こっている。
※同時に起こることもある。
専門医(皮膚科)を受診することが大切
③注意すべき薬剤(蕁麻疹を伴わない血管浮腫)
NSAIDs(アスピリンなど)
ACE阻害薬、
ARB
経口避妊薬(ピル)
など
④ACE阻害薬とARBの血管浮腫について
ACE阻害薬による発生機序
ACE阻害薬を内服
↓
ブラジキニンの分解抑制
↓
ブラジキニン蓄積
↓
ブラジキニンの作用により血管透過性亢進、毛細血管拡張
↓
血漿成分がしみ出し、「血管浮腫」が生じる
好発部位
よく起こる部位は、やはり「顔」や「唇」である。
※咽頭部(喉)あたりで「血管浮腫」が起こると呼吸に影響することがある。
→気道が閉塞する危険性があるので注意
発現頻度・時期について
添付文書やインタビューフォームではわからないことが多い。
→論文によって頻度はまちまちだが低い(しかし、十分注意が必要)
投与開始より4週間(とくに1週間までが60%)までに多いことがわかっている。
発生頻度はアンジオテンシン変換酵素阻害薬内服患者の0.1~0.5%である。
ARBについて
血管浮腫についての報告はあるが機序不明、
ACE阻害薬より頻度が低いことはわかっている。
参考資料
広辞苑 第五版 岩波書店
日本呼吸器学会 呼吸器Q&A
重篤副作用疾患別対応マニュアル
血管性浮腫(血管神経性浮腫)平成20年3月厚生労働省
Messerli FH, Nussberger J.: Vasopeptidase inhibition and angio-oedema. Lancet. 19(356):608-9(2000)