小児期に多い食物アレルギーと食物アレルギー関連医薬品
①小児期に多い食物アレルギー
0歳児が最も多く、34%である。また、学童期までに80~90%が耐性獲得する。
「卵」39%、「牛乳」22%、「小麦」12%が上位3種類である
全体の約72%を占める。
この中で、医薬品ととくに関連があるのは「卵(鶏卵)」と「牛乳」である
学童以降で新規発症が多く、重篤なので注意が必要なもの
「ピーナッツ」、「エビ」、「かに」、「そば」
有病率
乳児10%
3歳児5%
保育所児5.1%
学童以降1.3~4.5%程度
全年齢では1~2%程度
補足:小児患者の年齢区分(今回とはあまり関係ありませんが・・・)
低出生体重児、出生体重が2500g未満
新生児、出生後4週間未満
乳児、1歳未満
幼児、7歳未満(就学前のイメージ)
小児、15歳未満
生まれて半年で離乳食
1歳くらいまでに離乳していく
②食物アレルギーと医薬品について
鶏卵関連
・リゾチーム塩酸塩製剤
(リフラップ®軟膏、リゾティア®点眼液)
牛乳関連
・タンニン酸アルブミン
(タンナルビン®)
・カゼイン
(ミルマグ®、ラコール®類、エンシュア®類、エネーボ®、アミノレバン®EN)
※薬局業務にて(私見含む)
ラコール®・エンシュア®・エネーボ®などの栄養剤は、高齢者に対して
処方される機会が多い。
施設に入所されている方など
必ずしも本人から情報を聞き取れない場合注意が必要。
介護スタッフや家族でさえ「牛乳アレルギー」の有無を知らないことがある
施設や家で「牛乳を飲んでいるか?」など牛乳摂取が問題ないかを聞き取ることも大切だろう。
服薬指導の最中に実は「牛乳アレルギー」があることが判明してヒヤヒヤしたことが何度かある。
乳糖
(吸入剤:フルタイド®、アドエア®、シムビコート®、 レルベア®、
散剤への賦形)
※散剤の賦形で乳糖を用いる際は、「乳糖を入れている」という実感はあるが、
吸入にも意外と乳糖が入っているので注意
→乳糖不耐症の人は、時々いるので・・・
※乳糖不耐症
小腸で乳糖をガラクトースとグルコースに分解する酵素の活性が低下している人。
「ひどい下痢」などを起こす。大人になってから乳糖不耐症になる人もいる。
子供の頃は、牛乳に対して平気だったけど、大人になって「お腹がゴロゴロ」したり、
「下痢」したりする人は要注意
生薬など細かいもの
桃仁→モモ
山薬→ヤマイモ
アキョウ→ゼラチン
小麦、ごま等、意外と注意が必要なものが多い
参考資料・文献
食物アレルギーの診療の手引き 2014
「医療用医薬品添付文書」作成の手引き 日本製薬工業協会
今井孝成,ほか.アレルギー.2016;65
食物アレルギー診療ガイド2016