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脂質異常症・コレステロール 薬物動態・相互作用

スタチン系(アトルバスタチン、シンバスタチン)と高血糖について~気になったのでざっくりとまとめる~

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①高血糖を引き起こす機序(まだ分かっていない面が多い)

アトルバスタチン

脂肪細胞の糖輸送担体(GLUT4)の発現を抑制

糖の取り込み減少する

高血糖を引き起こす

シンバスタチン

すい臓細胞のL型カルシウムチャネルを阻害する

血糖依存性のインスリン分泌を抑制する・・・
と考えられている

他にも・・・

コレステロー ルが膵β細胞に及ぼす直接作用を示唆する報告もある。
高コレステロール血症がβ細胞内のコレス テロール過剰を惹起し、
グルコース依存性インスリン分泌を障害する。
また、β細胞内のコレステロールを減少させることでインスリン分泌が
改善されたとのこと

つまり、スタチン系によって高血糖に及ぼす影響には差がある
可能性がある。
現場では、とりあえず添付文書に「高血糖」の記載があるものに
注意する必要があるだろう

②高血糖と添付文書

アトルバスタチン

重大な副作用に「高血糖」・「糖尿病」
→「糖尿病患者」に慎重投与

・血糖上昇の副作用記載があるもの
アトルバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン

・添付文書に記載がないもの(他と代謝が違う)
プラバスタチン、ピタバスタチン

③スタチンと代謝・排泄について

・プラバスタチン 尿中排泄(水溶性)
・ピタバスタチン 胆汁排泄
・そのほかの薬剤 肝代謝

補足

※プラバスタチンは特に筋肉への副作用が少ない →水溶性の特徴がある
※脂溶性の薬剤は肝臓以外の臓器筋肉にも集積しやすい

参考資料
民医連新聞 第1652号 2017年9月18日
各薬剤の添付文書
Yoda T, Nakata M, Shiraishi T, Kakei M (1999) Inhibition by simvastatin, but not pravastatin, of glucoseinduced cytosolic Ca2+ signaling and insulin secretion due to blockade of L-type Ca2+ channels in islet betacells. Br J Pharmacol 126: 1205-1213

Nakata M, Nagasaka S, Kusaka I, Matsuoka H, Ishibashi S, Yoda T (2006) Effects of statins on the adipocyte maturation and expression of glucose transporter 4 (SLC2A4): implications in glycemic control. Diabetologia 49: 1881-1892

Hao M, Head WS, Gunawardana SC, Hasty AH, Piston DW (2007) Direct effect of cholesterol on insulin secretion: a novel mechanism for pancreatic β -cell dysfunction. Diabetes 56: 2328-2338