①TTR(Time in Therapeutic Range)とは?
PT-INRが至適範囲に入っている時間
「維持された日数が全体の何%か」を表す指標
低くなるにつれて、脳卒中発症率が上がることが分かっている
PT-INRとは?
プロトロ ンビン時間(PT)の国際標準比(INR)を使う
PT-INRはPT比
(=患者血漿 PT/ 正常血漿PT)に国際感受性指数(ISI)を乗じたもの
※PT(秒)
※使用する試薬のISI値により変動する。
ISI 値が1.0に近い試薬が推奨されている(正直・・・難しい)
※ISI:international sensitivity index
※INR:international normalized ratio
②PT-INRとTTR
TTRのだいたいの平均は、
70歳未満で約50%
70歳以上で約70%
全体の平均約64%程度と言われている
→TTRを60%以上キープすることが難しい
TTRが40%を切ると、ワーファリン「未投与」より予後が悪い!!
※
大阪府立成人病センターの堀正二先生の話では
ワーファリンは1年で26%が脱落
ワーファリンは6年で半分しかしっかり飲んでいない
というエビデンスがあるとのこと
→薬局でも服用しているかの確認とアドヒアランスの向上を目指す必要性がある
・70歳以上の日本人において
PT-INRが
1.59以下で重篤な脳梗塞リスクが増え、
2.6以上で重篤な出血性合併症が増えるという報告がある
→薬局でもPT-INRとワーファリン量の確認は重要である
※個人的小言
来院時にPT-INRを測る。つまり、その瞬間のPT-INRで
治療を決めているのだ。ワーファリンは食事の影響も多いため
実際どれくらい治療域に入っているか厳密には分からないのが現状
手軽に、安く・・・
「脈」や「血糖値」のように経時的なPT-INRが測定出来たらいいなと思う。
おまけ:
救急搬送される原因薬剤として
圧倒的に多いのは「インスリン」と「ワーファリン」である
参考資料
小谷英太郎;JPN. J. ELECTROCARDIOLOGY Vol. 31 No. 3 2011
我が国で用いられているプロトロンビン時間国際標準比 (INR)測定用試薬の国際感度指数(ISI)値とその問題点 ―J-RHYTHM Registryからの検討
是恒之宏;Jpn J Electrocadiol 2009:29: 245-247 White HD, et al : Arch Intern Med 2007: 167:239-245 Yasaka M, et al: Intern Med 2001: 40 :1183-1188 N Engl J Med 2011 : 365:2002-12