ポイント:揉まずに押さえる程度で良い
皮下注射か筋肉注射かどうかがポイントとなる。
筋肉注射の場合は薬剤によって異なるため、
筋肉注射の例も入れてざっくりまとめる。
①インフルエンザ予防接種は皮下注射
強く揉むことによって体の中に入れた薬液が漏れてきたり、
皮下出血を起こす原因になる。
また、ゆっくり吸収させるために皮下組織に注射しているため、揉んで早く吸収させる必要もない。
→揉まなくてよい!
インフルエンザ予防接種ガイドラインより引用
「インフルエンザ予防接種後、注射部位は揉まずに、血が止まる程度に押さえるだけでよい。揉む場合でも数回に留める。 余り強く揉むと皮下出血を起こすことがある。」
②筋肉注射では揉んだほうが良い?
副反応が起こりうるので揉む場合はある。
もちろん揉まない場合もあるので注意が必要
(持続性のある注射、懸濁性の注射など)
添付文書や説明書などをしっかり読む必要がある。
揉む場合の目的を整理しておく
・薬の血管内への吸収を促進させる(毛細血管への浸透↑)
・線維性瘢痕性腫瘤(硬結)・疼痛の副反応の回避
揉まない場合の目的を整理しておく
・皮下注射→皮下出血の可能性がある。揉む理由がない(吸収早める必要がない)
・持続性のあるもの→早く拡散し、持続性が失われる。
・懸濁性のもの→組織障害が起こる可能性がある。
③揉まない筋肉注射の例(添付文書一部より)
エビリファイ®懸濁用筋注
「筋肉内注射にあたっては、下記の点に注意すること。
①注射部位は、臀部の外側上部又は三角筋のみとし、
他の筋肉内には投与しないこと。
② 注射部位は毎回左右交互とし、同一部位への反復注射は行わないこと。
④注射部位に疼痛、硬結等をみることがある
⑤ 注射部位をもまないように患者に指示すること。」
ゼプリオン®水懸筋注
「適用上の注意
(1)本剤の使用にあたっては、取扱い方法を熟読すること
(6)注射部位をもまないように患者に指示すること。
(7)注射部位に疼痛、硬結をみることがある。 」
④揉む筋肉注射の例(添付文書一部より)
ゲンタシン®注
「筋肉内注射時:
筋肉内注射にあたっては、組織・神 経等への影響を避けるため以下の点に注意すること。
4)硬結を来すことがあるので、注射直後は局所を十分にもむこと。」
参考資料
予防接種ガイドライン等検討委員会:インフルエンザ予防接種ガイドライン. 予防接種リサーチセンター, 2013, p11.
エビリファイ®懸濁用筋注添付文書
ゼプリオン®水懸筋注添付文書
ゲンタシン®注添付文書