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抗ヒスタミン剤によるインペアード・パフォーマンスについて~眠気を伴わない症状・各薬剤の違い~

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①インペアード・パフォーマンスとは?

インペアード・パフォーマンスは,「眠気」の副作用の考えとは違い、
「眠気」や「ぼんやり感」などの自覚の有無に関係なく(どちらでもよい)
集中力・判断力・作業能率の低下した状態を示すものである。

自覚しにくい運動機能・学習能力の低下である。

これにはヒスタミンの作用が抑えられていることが関係している。
ヒスタミンの脳内での作用を覚えておくとイメージしやすい。

②ヒスタミンの作用

・眠くならないようにする作用
・学習能力や記憶能力を高める
・活動量を増やす

つまり、この作用を薬で抑えてしまうと「眠気」や「集中力の低下」を招く。

③脳内移行性について

第一世代よりは第二世代の方が脳内移行性は低いが、第二世代でも差がある。
添付文書上の参考として「運転」や「作業」の項目として書かれているのでチェックしよう。

例(NGなもの):第一世代(レスタミンコーワ®)の添付文書記載

「眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。」

→禁止されている

え?レスタミンコーワ®なんて服用しないって?
ジフェンヒドラミンの主成分の薬がある・・・
トラベルミン®なんてのはどうでしょうか
ジフェンヒドラミン40mg含まれている。
もちろん添付文書の記載は↓

「眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には 自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させ ないように十分注意すること。」

同じ記載(笑)
ちょっとした小ネタに覚えておくとよいのでは?

例(NGなもの):第二世代(オロパタジン)の添付文書記載

オロパタジン(アレロック®)添付文書
「眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。」

→第二世代でも禁止されているものもある。
他にもセチリジン(ジルテック®)、レボセチリジン(ザイザル®)も禁止。

例(注意なもの):第二世代(ベポタスチン)の添付文書記載

ベポタスチン(タリオン®)添付文書
「眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車 の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。」

→注意するようにはっきり書かれている。

例(OKなもの):第二世代

添付文書上、上記のような注意点が書かれていないものはいくつかある。
フェキソフェナジン(アレグラ®)、ロラタジン(クラリチン®)、
ビラスチン(ビラノア®)、デスロラタジン(デザレックス®)

上記薬剤の脳内移行性が低い理由はこちらを参照

③服薬指導上の工夫

職業を聞くことも大切!
ドライバー(トラック、タクシー、代行など)、
パイロット、
何か機械の作業に従事する人(意外と工場とか土木関係の仕事など)

あと、意外と盲点なのは「学童期の小児」
→学校での学習がとても大切。
常時服用が必要な場合は注意する。
眠気はないのに学習能力が落ちていたら気づかないし、かわいそう・・・

※服用によって、どんな可能性があるか伝えておくことは大切なので
職業によって指導を替えてみてはどうだろうか。

参考資料
抗ヒスタミン薬の有害反応
―インペアード・パフォーマンスを中心に熊谷 雄治
耳鼻免疫アレルギー(JJIAO) 29(2): 18, 2011
レスタミンコーワ®添付文書
トラベルミン®添付文書
アレロック®添付文書
ジルテック®添付文書
ザイザル®添付文書
タリオン®添付文書