おまけ:起立性低血圧の覚え方
①廃用症候群の定義
「・身体の不活動によって引き起こされる二次的な障害の総称
・廃用によって起こる様々な症候をまとめたもの」
寝たきりになることで生じる身体の悪影響のことである。
→廃用症候群、または、生活不活発病という。
※廃用症候群の研究は離床研究でもある。
※廃用症候群は概ね3週間ぐらいでなる。
数日間でなる悪影響をデコンディショニングと言ったりする
(この言葉は、循環器で使われたりする)
補足:もともと、宇宙飛行士が地球に帰ってきたときに問題となったもの
②どんなところに影響が出るのか?(病態・症状)
ざっくりと3つの場合で整理してみる。
・呼吸器:肺障害のリスク↑呼吸しにくくなる
・循環器:起立性低血圧
・筋肉:タイプⅠ線維の筋力低下
呼吸器では?
まず、右肺の下葉は「背中側」にあるということを押さえる。
つまり、寝たきりになると下葉の部分は、自分の体と床に挟まれる。
また、横隔膜による圧迫も生じてしまう。(60kgの人で5kg程度)
↓
空気が肺に入りづらくなる
↓
無気肺になる
↓
感染症リスク↑
補足:誤嚥性肺炎も下葉に生じやすい
循環器では?
寝転がることで、体が水分過剰と勘違いする
↓
利尿促進してしまう
↓
脱水が起こる
↓
血流量が減少する
↓
頭に血がいかない
↓
起立性低血圧が起こる。
おまけ:起立性低血圧について
寝転がった状態から立った時に
心臓への還流血液量が約30%減少する。
↓
心拍出量減少・体血圧低下が生じる。
この時、健常者は、正常に保つ機能が起こるが、
循環血流量が減少した人は、高度の血圧低下が生じる。
※ガイドラインによる診断基準
「 仰臥位・座位から立位への体位変換後3分以内に収縮期血圧が20mmHg以上低下するか,収縮期血圧の絶対値が90mmHg未満に低下、または拡張期血圧の10mmHg以上の低下が認められた際に起立性低血圧と診断する」
※覚え方
診断基準を簡単に覚えるとすると
10mmHg(拡張期血圧の低下:下の血圧)
20mmHg(収縮期血圧の低下:上の血圧)
3分以内(起立後)
+自律神経の状態も考慮する(交感神経や副交感神経)
頭文字の数字を取って・・・
1、2、3、ダーーーーーーーーーーー
筋肉では?
寝たきりによる筋力低下が生じる。
・ベットレスト後、膝の筋肉が20日間で20%低下する。
・絶対安静中、1週間で10~15%程度筋力が低下する。
というような報告があり、筋力は確実に低下する。
※抗重力筋(タイプⅠ線維)が低下しやすい
補足:首のところの呼吸補助筋は逆に太くなる
→呼吸状態が悪い証拠になる。
抗重力筋(タイプⅠ線維)とは?
赤筋、遅筋、緩徐筋とも言われる。
収縮速度は遅いが、持久性に富み疲労しにくい筋肉
姿勢の保持と張性に関与している。
例:腹直筋、腸腰筋、大臀筋、ヒラメ筋など
※クラスⅡ筋(速筋、白筋)もあるが今回は割愛
参考資料
廃用症候群定義、病態-総リハ・41巻3号・257~262・2013年3月
失神の診断・治療ガイドライン2007