Caチャネル拮抗薬(遮断薬)と血管浮腫に関してはこちらを参照
①Caチャネルサブタイプ
ざっくりとまとめると以下のようになる。
電位依存性CaチャネルはL、N、T、P、Q、R型の6タイプに分かれている
(電気生理学的、薬理学的性質の違い)
L型、N型、T型が臨床上大切であり、
L型:中枢・末梢神経・骨格筋・心臓・血管平滑筋・腎臓に分布
N型:中枢・末梢神経・腎臓・副腎に分布
T型:中枢・末梢神経・心臓・血管平滑筋・腎臓に分布
その他
P、Q、R型:神経に分布
②Caチャネル拮抗薬(遮断薬)
選択的に電位依存性のCaチャネルを遮断する薬物を指す。
多くの電位依存性カルシウム拮抗薬はL型に作用する。
この型のチャネルを有する臓器や組織に影響を及ぼす。
※①でも述べたが、L型は、心臓や平滑筋などに分布
異なるタイプのカルシウムチャネルをもつ組織に影響は及ぼさない
化学構造からの分類
薬物の化学構造から分類すると大きくDHP誘導体と非DHP誘導体(心選択性)に分ける。
※DHP:ジヒドロピリジン誘導体
DHP誘導体はニフェジピンを基本構造としている。
ここから様々な薬剤が作られた。
ニフェジピンは、副作用として「血圧降下に伴う反射性頻脈」、「歯肉肥厚」や
L型Caチャネルに対する抑制作用が強い。
そのため、徐放錠としたり、構造をいじったりしている
※ニフェジピンの降圧作用は一番強く、少しマイルドにしたのがアムロジピンのイメージ
・N型に作用するものの例
L型だけでなくN型Caチャネル抑制作用を持つものがある。
シルニジピン(アテレック®)やアムロジピン(ノルバスク®)は、L型とN型Caチャネルを同程度の濃度で抑制することが分かっている。
アムロジピンに関しては報告にもよるが、今後追記予定
(どこのN型を遮断するのかとか・・・)
(個人的な認識はシルニジピンがN型にも作用ってイメージだった。)
シルニジピンは交感神経神経細胞(終末)のN型カルシウムチャネルを抑制する。
神経終末からのノルアドレナリン遊離を抑制し、交感神経活動を抑制する
→「心拍数の増加」や「ノルアドレナリン量の増加」をしない。
シルニジピン(アテレック®)の特徴についてはこちらを参照
・T型に作用するものの例
ベニジピン(コニール®)、アゼルニジピン(カルブロック®)、エホニジピン(ランデル®)
腎疾患を合併する高血圧に対して抗蛋白尿作用があると報告されている。
(シルニジピンにもこの作用はある)
アゼルニジピンの特徴はこちらの記事参照
ちょっとした選択性の違いが薬理作用に差を生む
血管選択性なのか心臓選択性なのかなど
ざっくりと言うと下記のようになる。
DHP誘導体のCa拮抗薬は、血管選択性が高く、
主に降圧薬、循環改善薬として用いれる。
ジルチアゼム(ヘルベッサー®)やベラパミル(ワソラン®)は心臓選択性が高く、抗不整脈薬として使われる。 この2つは型の選択性が高くない。
ジルチアゼムは、ベンゾチアゼピン系
ベラパミルは、フェニルアルキルアミン系と言われる。
・ジルチアゼムは、降圧作用は弱く、洞調律や房室伝導系の抑制が強い。
また、心拍数を減少させる。
・ベラパミルは、血管より心筋の方の電位依存性カルシウムチャンネルに対して
親和性と選択性がある。上室性頻脈に用いられる。
参考資料
各薬剤の添付文書、インタビューフォーム
Fujli S, Kameyama K, Hosono M, Hayashi Y, Kitamura K : Effects of cilnidipine, a novel dihydropyridine Ca++-channel antagonist, on N-type Ca++ -channel in rat dorsal root ganglion neurons. J Pharmacol Exp Ther 1997;280 :1184 -1191
Furukawa T, Nukada T, Suzuki K, Fujita Y, Mori Y, Nishimura M, Yamanaka M : Volt age and pH dependent block of cloned N-type C2+-channels by amlodipine. Br J Pharmacol 1997 :121 :1136 -1140
Uneyama II, Takahara A, Dohmoto H, Yo hsimoto R, moue K, Akaike N : Blockade of N-type Ca2+ current by cilnidipine (FRC8653) in acutely dissociated rat sympathetic neurons. Br J Pharmacol 1997;122 : 37-42