以前から言われいているが、DSUに再び載ったのでざっくり整理
ドパミン調節障害症候群については、2016年 4 月に「その他の副作用」に記載されているが、以降 もレボドパ含有製剤を服用中の患者において、ドパミン調節障害症候群の症例が報告されており、注意喚起のため重要な基本的注意の項にもドパミン調節障害症候群を追記することになったらしい。
医薬品安全対策情報(DSU)(No.286 2020年2月発行)により
マドパー®などの添付文書の重要な基本的注意に記載されることとなった。
①行動異常
行動異常:impulsive-compulsive behaviors(ICBs)
行動異常には、衝動制御障害(ICDs)、ドパミン調節障害症候群(DDS)、pundingがある。
治療:
原因薬剤の減量・中止
パーキンソン病治療薬の変更検討
衝動制御障害:inpulse control disorders(ICDs)
「病的な賭博行為」「性的亢進」「過食(むちゃ食い)」「買い物依存(買いあさり)」などが起こる。
軽度なものを挙げると、「インターネット依存(ネットサーフィン)」「趣味への没頭(ガーデニング、収集)」「ウォーキング」など延々とやり続ける反復行為がある。
ICDは、L-dopaよりドパミンアゴニストで起こりやすい
※辺縁系に多く存在するドパミンD3受容体への親和性が高いとICDを起こしやすい
※投与開始直後でも起こるが、5年以上経ってから生じるケースが多い
ドパミン調節障害症候群: Dopamine dysregulation syndrome(DDS)
ドパミン補充療法の影響で生じる異常行動の事(ICDなど)である。
ドパミン補充療法への必要量を超えた渇望と共に、ICD、躁状態、うつなどの行動、気分障害を呈するものを指す
punding
イメージしにくいが、
服の表面を探ったり、同じところを雑巾がけ拭いたり
タンスの衣類を出したり入れたり
反復した異常行動。
結果的には、何も得られない・・・行動
②マドパー®の記載
マドパー®のメーカーが作成している患者説明書には、
2つの副作用に特に注意するように記載されている
「突発的睡眠」と「衝動制御障害」である。
実は、眠気にも注意しないといけない・・・知ってましたか?
突発的というのは、前兆がないということ
重要な基本的注意の記載(引用)
「(7)レボドパ又はドパミン受容体作動薬の投与に より、病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲 亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害が報告されている。また、レボドパを投与された患者において、衝動制御障害に加えてレボドパを必要量を超えて求めるドパミン調節障害症候群が報告されている。患者及び家族等 にこれらの症状について説明し、これらの症状が発現した場合には、減量又は投与を中止 するなど適切な処置を行うこと。 」
確かに、本人に説明しにくいときは、家族にもしっかり症状を伝えておく必要はありそう。
参考資料
ドパミン®添付文書
医薬品安全対策情報(DSU)(No.286 2020年2月発行)
柏原 健一,parkinson病患者の行動障害;:神経治療,34 151-154,2017