タリージェ の解説をする。成分名はミロガバリンである。特徴や副作用について触れていく。
作用機序は「プレガバリン(リリカ®)」と同じである。
補足:「α2δ-1」と「α2δ-2」の違いについて
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タリージェとリリカの違い について考える
①タリージェの適応症(効能・効果)
神経障害性疼痛
※リリカ® の添付文書上の「効能・効果」
「神経障害性疼痛、線維筋痛症に伴う疼痛」
※どんな「原疾患」で保険(レセプト上)が通るのか気になるところ
臨床試験は「糖尿病性末梢神経障害性疼痛(diabetic peripheral neuropathic pain:DPNP)、帯状疱疹後神経痛(post-herpetic neuralgia:PHN」で効果があったというデータがある。
→「糖尿病」「帯状疱疹」はとりあえずOK
②作用機序
ミロガバリン(タリージェ®)は電位依存性カルシウムチャネルの
α2δ サブユニットに強力かつ特異的に結合するリガンド
α2δ-1サブユニットに対して持続的に結合する。
↓
シナプス前終末においてカルシウムイオンの流入を減少
↓
興奮性神経伝達物質の放出を抑制
↓
鎮痛作用を示す
補足:「α2δ-1」と「α2δ-2」の違い
・α2δ-1→鎮痛作用に関与している。
・α2δ-2→中枢性神経障害に関与しているらしい。
小脳などに多く存在し、「めまい」などの副作用に関係していると考えられている。
※「ヒトα2δ-1 及びα2δ-2 からのミロガバリンの解離半減期は、
それぞれ11.1 及び2.4 時間と推定された。」と添付文書に記載があるが・・・
α2δ-2からは早めに解離するということは、
「めまい」等の副作用は「飲み始め」特に注意なのか?気になるところ
今後調べる予定
③副作用
・副作用(頻度の高いもの)
傾眠・めまい・体重増加・浮腫(むくみ)・歩行障害
・その他:目の症状注意
「本剤の投与により、弱視、視覚異常、霧視、複視等の眼障害があらわれることがあるので、診察時に、眼 障害について問診を行うなど注意し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと」
※MRの話では、用量依存的ではないとのこと
添付文書の引用:
〈糖尿病性末梢神経障害性疼痛〉
日本を含むアジアで実施した糖尿病性末梢神経障害性疼痛 患者を対象とした臨床試験において、854例中267例 (31.3%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。 主な副作用は、傾眠107例(12.5%)、浮動性めまい77例 (9.0%)、体重増加27例(3.2%)等であった。〔承認時〕
〈帯状疱疹後神経痛〉
日本を含むアジアで実施した帯状疱疹後神経痛患者を対象 とした臨床試験において、553例中241例(43.6%)に副作用 (臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、 傾眠110例(19.9%)、浮動性めまい65例(11.8%)、体重増加 37例(6.7%)等であった。〔承認時〕
④腎機能と投与量
「腎排泄」の薬剤である。
細かい量は添付文書を参照を。
ここでは覚えるためのイメージ
・クレアチニンクリアランスCLcr(ml/min)値が
(60>CLcr≧30)
→正常な人の半分の量で用いる。用法は同じ1日2回
(30>CLcr)透析患者含む
→(60>CLcr≧30)の場合の量で回数を1日1回にする
⑤その他
・投与開始1 週目から平均疼痛スコアの低下を示した。
・66週までは効果がしっかりと保たれたというデータがあり、
薬に慣れて効果が落ちることはない。
・一包化OK(湿気注意)
・粉砕 ✖
・簡易懸濁法 OK
※湿気に弱い(夏場の湿気が多いときなど注意)
40℃75%で3日目から類縁物質増加・含量低下が生じる
※今後改良した製剤を発売予定とのこと
粉砕もできる製剤だとありがたい・・・
※今後、神経障害性疼痛薬物療法アルゴリズムにおいて
プレガバリン(リリカ®)と同じ位置づけの第一選択薬として記載される予定
おまけ:関連動画
参考資料
タリージェ®添付文書・インタビューフォーム
第一三共勉強勉強会・メーカー問い合わせ
神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン改訂第二版