レイボー (ラスミジタン)の特徴について簡単に整理する。今までの片頭痛治療薬と作用機序が異なる。
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レイボー (ラスミジタン)の特徴
禁忌の少なさが使いやすい。「めまい」「眠気」に注意すること
効能・効果
「片頭痛」
※片頭痛の発作治療薬である
※頭痛の診療ガイドライン2021において、「トリプタン系」の薬剤とグレードは同じ位置づけである
用法・用量
「通常、成人にはラスミジタンとして1回100mgを片頭痛発作時に経口投与する。ただし、患者の状態に応じて1回50mg又は200mgを投与することができる。頭痛の消失後に再発した場合は、24時間あたりの総投与量が200mgを超えない範囲で再投与できる。」
※基本的には、1回100mgを使う
※予防的な投与はしない
※トリプタン系と違い、一度の服用で消失しきれなかった頭痛に追加投与は出来ない。
薬理作用・作用機序
ラスミジタン (レイボー)は、低分子の選択的セロトニン1F受容体作動薬である。
神経細胞やシナプスの前終末にあるセロトニン受容体1F受容体に選択的に結合
↓
セロトニン受容体1F受容体を活性化
↓
中枢における片頭痛疼痛シグナル伝達を抑制、
末梢における三叉神経からの神経原性炎症や疼痛伝達に関わる神経伝達物質(CGRPやグルタミン酸など)の放出を抑制
↓
片頭痛発作に効果を示す
※CGRP:カルシトニン遺伝子関連ペプチド
※セロトニン1F受容体は、視床や大脳皮質、三叉神経系の神経細胞やシナプスに発現していて疼痛シグナルの伝達や三叉神経の過活動を調整している。
トリプタン系の薬剤は、セロトニン5HT1D受容体やセロトニン5HT1B受容体に作用するため違いがある。
動脈への影響(トリプタン系の薬剤との違い)
ラスミジタン (レイボー)は、冠動脈、内胸動脈、中硬膜動脈を収縮しない。そのため、心筋梗塞などへの影響が少ないと考えられる。
このデータのおかけで禁忌事項が非常に少ない。
【参考】
・スマトリプタンの禁忌項目(抜粋)
「心筋梗塞の既往歴のある患者、虚血性心疾患又はその症状・兆候のある患者、異型狭心症(冠動脈攣縮)のある患者、脳血管障害や一過性脳虚血性発作の既往のある患者、末梢血管障害を有する患者、コントロールされていない高血圧症の患者」
・ラスミジタン(レイボー)
上記のスマトリプタンのような禁忌項目はない
副作用
よくある副作用は、「浮動性めまい」、「傾眠」である。
・浮動性めまいが、レイボー100mg群で36.5%、レイボー200mg群で48.9%
・傾眠が、レイボー100mg群で20.7%、レイボー200mg群で22%
その他に、「倦怠感」「無力症」「感覚麻痺」「悪心」などが報告されている
【服薬指導の際のポイント】
副作用の頻度は多く感じるが、眠気やめまいの程度がひどくないか確認する必要がある。
また、めまいや傾眠の持続時間は3時間程度なので服薬指導の際に伝えておくとよい。
眠気やめまいを起こすことがあるので運転などに注意する。
その他の特徴や留意点など
・レイボー100mgでは60分後に、レイボー200mgでは30分後に効果が出る(個人差アリ)
・片頭痛が起きて1時間未満でも1時間経過していても服用2時間後に頭痛は改善する。すぐ飲まなくても効果はある
・トリプタン系の薬剤との併用は禁忌ではない(今後の追加情報注意)
・トリプタン系の薬剤で効果不十分の場合、レイボーを服用して効果が出る可能性はある。
・レイボー錠もトリプタン系の薬剤と同じで月に10錠まで等設定される可能性あり(今後追記予定)
・粉砕や簡易懸濁法の可否はまだ調査中
補足:現時点における理想的な片頭痛急性期治療とは?
頭痛の診療ガイドライン2021における「エキスパートオピニオンより」
「・2時間以内に頭痛が消失する
・普段と同じレベルの活動が可能となる
・不快な有事事象(締め付け感、だるさなど)がないか最小限である」
と規定されている。
参考資料
レイボー、添付文書、インタビューフォーム
頭痛の診療ガイドライン2021