酸素飽和度モニタリング について。新型コロナウイルスの対応でも注目されている
パルスオキシメーターの使われる例について簡単に整理する。
SpO2についての記事は下記を参照のこと
経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)の基本について~パルスオキシメーターで測定できる~
①酸素飽和度モニタリング
パルスオキシメーターを用いて経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)を簡便に測定できるので様々な場面で使われる。
SpO2についての記事は下記を参照のこと
経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)の基本について~パルスオキシメーターで測定できる~
パルスオキシメーターが使われる例
下記のモニタリングや判定などに使われる
•睡眠時無呼吸症候群
•在宅酸素療法(HOT:Home Oxygen Therapy)
•NIPPV療法の適応判定
※NPPV(Non invasive Positive Pressure Ventilation)療法とは、慢性呼吸不全の患者に対して気管を切開せず酸素マスクで換気を行う治療法
•在宅患者の指導管理
※時事的なもので言えば、新型コロナウイルス患者の自宅待機にも使われている
②判断基準
健常者→96%~99%の間が正常値
安静時でSpO2が95%以下→専門医に相談すべき状態である。
90%を切った場合→呼吸不全と判断される。
※ただし、個々人で違うため日頃のSpO2から3~4%低下した場合は、在宅医療の現場などでは連絡する目安となる。
※ただし、96%以上でも動いたときに息苦しさがある場合は、連絡すること
安静時と労作時は別である。
睡眠時無呼吸症候群
夜間に体の中の酸素状態がどうなっているかを経時的に測定することで、
簡易的に睡眠時無呼吸症候群の状態を診ることが出来る。
睡眠中のSpO2の下がり具合が目安となる。
経時的な測定が有用となる例である。
在宅酸素療法(HOT:Home Oxygen Therapy)
在宅酸素療法の適応基準であるPaO2(酸素分圧)は55mmHgは、SpO2の88%に相当することを知っておくと便利である。
在宅医療の現場では、SpO2が90%を切ったら在宅酸素療法を考慮する。
目標値としては、90%や95%など患者によって変わる。
また、数値だけでなく症状も大切なので「息苦しさ」などの状態も見る必要がある。
在宅患者の指導管理
上記でも述べたが、SpO2が95%以下であったり、
通常の自分のSpO2の値より3%から4%低下した場合は、急性増悪が疑われる。
呼吸の状態が悪くなっている可能性がある。
基礎疾患にSpO2と関係がない人であっても
在宅療養中の人で日ごろからSpO2を測定していれば、
心不全の悪化や誤嚥性肺炎の可能性など早期に見つけるヒントとなる。
そういう理由で訪問看護などでSpO2は日ごろから測定されている。
「血圧」、「脈」、「体温」、「SpO2」はセットなことが多い。
※在宅医療の現場では、SpO2が90%を切ったら在宅酸素療法を考慮する
※気管支の吸入を行うと一時的にSpO2が下がることがある。一時的であれば問題ない。数分様子をみること。
時事的なもの:新型コロナウイルスの自宅療養・宿泊療養所での利用
厚生労働省から出された宿泊療養所向けのQ&Aにもパルスオキシメーターの記載がある。また、医療機器メーカーにも在庫の確保をお願いするよう文書が出されている。
(問)
「宿泊療養において、健康状況を確認するうえで、酸素飽和度 SpO2 や呼吸数などを把握するため、パルスオキシメーターを備え付ける必要性如何」
↓
(答)
「新型コロナウイルス感染症については、発生早期に比較的症状が軽い場合
でも、急激に増悪する場合があり、酸素飽和度の低下との関連が専門家から言
及されている。
宿泊施設において、看護師等が健康観察を行う際に、必要に応じて宿泊施設
に適切な数のパルスオキシメーターを備えつけ、酸素飽和度や呼吸数の確認
により健康状態を把握することが重要」
判断は?
厚労省の研究班が策定した「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の
手引き」によると、
「新型コロナウイルス感染症患者の血中酸素飽和度SpO2が
「96%以上」→軽症
「93%超〜96%未満」→中等症Ⅰ(呼吸不全なし)
「93%以下」→中等症Ⅱ(呼吸不全あり)
と評価されている。
患者のICUへの入室や人工呼吸器が必要であれば、重症となる。」
そのため、待機中は、定期的なSpO2のモニタリングにより
急に悪化していなかの判断基準になるのだ。
参考資料
パルスオキシメーターハンドブック
一般社団法人日本呼吸器学会
「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養及び自宅療養の対象並びに自治体における対応に向けた準備について」に関するQ&Aについて
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」