ブロメライン軟膏を褥瘡で使う場合の特徴やガイドライン上の位置付けなどを言っておくと便利。
個人的には、褥瘡で出されるケースを目にすることが多い。
滲出液を吸収するとか・・・壊死組織に使えるとか・・・簡単にまとめる
ブロメライン軟膏の特徴
ガイドライン上の位置付けはいまいちだが、臨床ではよく見かける軟膏。水溶性基剤である。
効能・効果
「熱傷・褥瘡・表在性各種潰瘍・挫傷・切開傷・切断傷・化膿創などの創傷面の壊死組織の分解、除去、清浄化およびそれに伴う治癒促進」
→壊死組織が付着した潰瘍に用いる。
用法・用量
「ガーゼ、リントなどに適量の軟膏をのばし、潰瘍辺縁になるべく触れないようにして塗布。1日1回交換する。創傷面が清浄化し、新生肉芽組織の再生が認められた場合は使用を中止する。 」
※褥瘡に適応がある外用剤で1日1回(添付文書)のものは限られる。
ゲーベン®クリーム、フィブラスト®スプレー、ブロメライン®軟膏
特徴
パイナップルから抽出された植物性蛋白分解酵素数種の混合物である。
パイナップルの果汁または葉茎より製した軟膏。
基剤は、水溶性基剤のマクロゴールであり滲出液を吸収する
※滲出液の有無の確認をすること
滲出液が多い時は、ドレッシング材ではなくガーゼで保護するのが基本である。
また、水溶性基剤であるため、
ブロメライン軟膏自体は水で洗い流すことが出来る
主薬であるブロメラインは、壊死組織除去作用を持つ酵素製剤であり
蛋白を分解する作用がある。
↓
「アルギニンとアラニン」「アラニンとグルタミン」のアミノ酸結合を加水分解
することにより蛋白質を分解する
※正常な皮膚に付いた場合、傷つける可能性がある
↓
軟膏を使用した際に「発赤」「痛み」を生じることがある
↓
壊死組織以外を守るためにワセリンやワセリン基剤のものを用いる
壊死組織の周りに塗っておくと良い。
ガイドライン上の位置づけは?
【日本褥瘡学会のガイドラインにおける推奨度】
壊死組織に対してブロメライン®軟膏は、推奨度C1
※C1:根拠は限られているが、行っても良い
ちなみに、カデックス®、ゲーペン®クリーム、ユーパスタ®、ヨードホルム®
それぞれC1である。
【日本皮膚科学会ガイドラインにおける推奨度】
壊死組織に対してブロメライン®軟膏は、推奨度1D
※エビデンスの高さはA~Dの4段階。Aが最高、また数字の1は推奨するという意味
カデックス®軟膏は、1A
ヨードホルム®1C
2つのガイドラインを見比べると、エビデンス的にはカデックス®軟膏が一歩リード?
余談
ブロメラインを含む内服薬としてヘモナーゼ®配合錠がある。
成分:ブロメライン・トコフェロール酢酸エステル配合剤
「痔」などに適応がある
参考資料
滲出液の状態別にみた薬剤選択(外用剤)の例 マルホ株式会社
ブロメライン®添付文書・インタビューフォーム
ヘモナーゼ®添付文書・インタビューフォーム
マルホ株式会社 問い合わせ
日本褥瘡学会ガイドライン
日本皮膚科学会ガイドライン