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めまい

ジフェニドール(セファドール®)とベタヒスチン(メリスロン®)の違いについて~ざっくりと~

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ポイント:

ベタヒスチン(メリスロン®)、ジフェニドール(セファドール®)はともに内耳循環を改善し抗めまい作用を示す。

使い分けのイメージ:

軽い浮動感だけの場合 → ベタヒスチン
吐き気を伴う場合 → ジフェニドール 

※ジフェニドールは嘔吐中枢抑制による「制吐作用」を持つと言われている

おまけ:ベタヒスチンは記憶を呼び起こす?

①ベタヒスチン(メリスロン®)について

作用機序

弱いH1受容体作動作用



内耳の毛細血管前括約筋を弛緩



内耳血管条の血流を増加させる



水分を外に出す



内耳循環を改善する

※他にも前庭神経核における作用により
抗めまい作用がある可能性も報告されている

適応症

「下記の疾患に伴うめまい、
めまい感 メニエール病、メニエール症候群、眩暈症」

②ジフェニドール(セファドール®)について

作用機序

めまいに関わる首の左右を通る椎骨動脈の血流増加作用



椎骨動脈血流の左右差を是正



平衡に関わる前庭神経の調節などによりめまいを改善する

その他の作用

めまいの原因となる末梢前庭からの異常なインパルスを前庭神経核及び視床下部のレベルで遮断し、 平衡系のアンバランスを是正する。

※制吐作用について
延髄にある嘔吐中枢を直接抑制することでめまいに伴う吐き気を抑制する

神経伝達物質アセチルコリンの働きを抑える作用(抗コリン作用)をもつ
上記の抗コリン作用により、
稀に「眼圧上昇」や「排尿困難」などがおこる場合があるため
「緑内障」や「前立腺肥大」などがある患者の場合は特に注意する

※「口渇」の副作用は約4%に起こる

適応症

「内耳障害にもとづくめまい」

補足

米国においては、「めまい」の抑制剤、「悪心」「嘔吐」の抑制剤として承認されている

③おまけ:ベタヒスチンと記憶について

最近の報告について
忘れた記憶を呼び起こす?思い出す?

「健康な20代の男女38人に約100枚の写真を見せて、1週間後に写真の内容を、
「ベタヒスチン」を服用した場合としない場合に分けて質問した。
その結果、実験30分前に通常処方量の10倍の「ベタヒスチン」を投与すると、
しなかった場合に比較して内容の正解率が若干上昇
投与しなかった場合に正解率が25%程度だった人が、
投与後は50%程度まで上がった。」

※「ヒスタミン」によって記憶を司る神経細胞を活性化し
「仮に思い出せなくても、記憶が脳内に残っていることが確認された」と考えられている

参考資料・文献
セファドール®、ベタヒスチン®添付文書・インタビューフォーム
日本新薬への問い合わせ
日本経済新聞2019/1/8
Hiroshi Nomura*, Hiroto Mizuta, Hiroaki Norimoto etc,
"Central histamine boosts perirhinal cortex activity and restores forgotten object memories," Biological Psychiatry: 2019年1月8日, doi:https://doi.org/10.1016/j.biopsych.2018.11.009.